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SDM Voice|小野塚 祐気氏(修士課程2014年4月入学)

大学では光ファイバーに関する研究を行い、卒業後、SDMに入学された小野塚祐気氏。宇宙システムに関する研究に新たに挑戦されたこと、多様な学生との交流の中で感じた文化の壁、言葉の壁をどのように乗り越え、成長することができたのかなど、SDMでの経験とそこで学んだことを中心に伺いました。

Profile

小野塚 祐気(おのづか ゆうき)

システムデザイン・マネジメント修士課程学生(2014年4月入学)
1991年生まれ。慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。大学時代は新規特性を持つ光ファイバーの作製及び特性解析を行い、光学を専門に研究。卒業後、慶應義塾大学院システムデザイン・マネジメント研究科へ入学し、システムズエンジニアリングを専攻。宇宙システムを対象に研究活動を行う。さらに「新規宇宙ビジネス創出プロジェクト」「Enhancing Development of Global Entrepreneur Program」に参加し、国際的プロジェクトで活躍している。

気象観測におけるシステムデザイン

私はいま修士課程の2年生で、日本の気象衛星システムをどのように表現するかを研究しています。表現というのは、気象衛星システムによって実現されている目的・サービスと衛星システムとの関係性を可視化して、どのような機能や物理によって目的・サービスを実現できるかを明らかにしていくことです。気象衛星システム全体を網羅的に表現することで、システムの一部がなくなった場合、他のどの部分に影響が出るかがわかります。この研究は、日本の宇宙計画に掲げられている項目の一つ、"宇宙システムのレジリエンスを向上させる"ということにつながる研究です。この研究によって、例えば宇宙開発事業に関わっているメーカーで、衛星開発においてどのように機能や物理を考えなければならないかがわかるようになります。

気象衛星システムと一言で言っても、様々な切り口で捉えることができると思います。例えば、衛星そのものをシステムとして考えると、機能的、物理的な視点で切り分けて考察できるようになります。気象衛星システムを宇宙インフラの中の一つのシステムとして広く捉えると、衛星は一つの要素でしかありません。さらに、衛星によってどのようなサービスが実現され、最終的にどのような目標が実現されるか、階層性をより明確に、物事を俯瞰的に見ることもできます。システムデザインを行う際に、様々な視点からシステムを捉えることが、気象観測システムを多角的・俯瞰的に見られることが研究に役立っています。

大学の研究とSDMの研究

慶應義塾大学の理工学部では、新規の特性を持った光ファイバーの研究をしていました。自分で実験計画を立て、光ファイバーを作り、その特性を解析するという基礎研究に近いことを日々行っていました。研究自体は面白かったのですが、研究したことによって生まれる価値が、誰に対してどのように与えられるかも考えなければならないと感じました。また、研究テーマである光ファイバー以外にも、宇宙分野の研究、特に人工衛星に関する研究に興味関心があり、SDMでその研究ができることを知って入学しました。大学時代は実験と考察を繰り返す、いわゆる理系的な研究のやり方しか知らなかったのですが、SDMでは、世の中の仕組みを作って、最終的に研究の価値を使う人に届けるところまで設計する。そういったシステマティックな方法を学べたことが、とても良かったと思います。

SDMの多様性がプラスに

SDMは多様性であることをうたっていますが、この点は自分にとって大きな意味がありました。理工学部では同年代の学生がいるのに比べ、SDMでは社会人の方もたくさんいらっしゃいます。経営者の方やアート関係、スポーツ関係の方、さらには留学生もたくさんいて、いろいろなバックグラウンドの方々と同じチームでプロジェクトを進めていく多様性が、自分にはプラスに働いたと思います。特に授業やプロジェクトで、ベトナムから来ている留学生と接する機会が多くありました。最初は文化の壁、言語の壁がありましたが、プロジェクトを通して、壁を乗り越えるにはどうしたらいいのかということも学ぶことができました。この点は入学前にはまったく考えていなかったことで、SDMに来て良かったことの一つだと感じています。

修士課程終了まであと約半年ありますが、まずは研究を意義のあるものに仕上げたいと思っています。そのためにも、一つのステップとして国際学会で発表、論文投稿を行い、自分の研究の価値を世の中に広められたらと考えています。また、昨年度から参加しているEDGE(Enhancing Development of Global Entrepreneur)プログラムでこれまで経験してきたこと、SDMでの研究の意義などについて、次のプログラム参加者や後輩、留学生に対して伝えていきたいと思っています。

学びに対するモチベーションを持って来てほしい

卒業後は、宇宙開発の道に進む予定です。この学校で学んだ問題解決のたくさんの手法をそっくりそのままダイレクトに使うのではなくて、目標を達成するためのプロセス、モノづくりをより適切に行うための考え方を、自分の仕事に合ったやり方で日々の業務に役立てたいと思っています。宇宙開発は一般の人にとっては縁遠いものなので、宇宙開発の価値を具体的にどうやって提供できるのかというところまで考えたいという目標があります。

SDMは、本当にやる気がある人、向上心がある人に向いている学校だと思います。ただ授業を受けて単位を取って卒業することもできますが、学内には様々なプロジェクトが転がっているので、自分がやりたいことに携わることが可能です。学びに対するモチベーションがある人に来てもらえると素晴らしい相乗効果が生まれ、学校全体が活性化されてより良い雰囲気になっていくのではないでしょうか。SDMは伸びしろを無限に作ってくれる場所。やる気がある人にとって最高の学び場だと思います。