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システムデザイン・マネジメントとは

システム+デザイン+マネジメントとは?

システムとは、複数の構成要素が相互作用する集合体のことです。SDM研究科でいうシステムは、ITシステムのような限定的な意味ではなく、情報、通信、メディア、ハードウエア、サービスから、人間、組織、社会、地球環境まで、あらゆるシステムを包含します。

システムのデザインとは、システムの意味、価値、目的、機能、ダイナミクス、社会環境、地球環境等、あらゆる要因の関係をバランスさせて、具体的な対象システムの構造を創造的にアーキテクティング&デザインするとともに、フィージビリティーを確実に評価することを表します。SDM研究科でいうデザインは、意匠デザインのような限定的な意味ではなく、技術システムのデザインから、組織のデザイン、コミュニティーのデザイン、経営や政策のグランドデザインまで、あらゆるシステムにおける構想提言、ソリューション提言を含みます。

システムのマネジメントとは、多様な視点から適切な目標を立案し、環境の変化や人間の不確定性を含むさまざまな要因を考慮して、対象システムの運用体系を創造的かつ整合的にマネジメントすることを表します。

つまり、システムデザイン・マネジメントとは、技術システムの設計から社会システムの構想提言まで、大規模・複雑で不確定要素の多いあらゆるシステムを創造的にデザインし、確実にマネジメントするための学問体系およびその実践を表します。SDM研究科では、Vモデルを基本とするシステムズエンジニアリングやイノベーティブなデザイン思考をベースに、システムデザイン・マネジメントの教育・研究を行っています。また、プロジェクトマネジメントから組織論まで、マネジメントについてもシステマティックに教育・研究しています。

システムズエンジニアリングとは?

システムズエンジニアリング国際協議会(INCOSE)によると、システムズエンジニアリングとは、「システムを成功裏に実現させることができる、複数の専門分野にまたがるアプローチおよび手段 "An interdisciplinary approach and means to enable the realization of successful systems." (INCOSE Handbook, 2000)」とあります。

日本では、「SE」、「システムエンジニア」というと、コンピュータシステムやソフトウェアを主として扱うエンジニアのことを指すことが多いため、「システム工学」、「システムズエンジニアリング」は、ソフトウェアを中心とするシステムのための工学と誤解される場合が多いようです。しかし、世界的には、「システムズエンジニアリング」は、ソフトウェアに限らず、機械システム、建築・土木システム、コミュニティーシステム、社会システムなど、あらゆるシステムに関する工学を意味します。もちろん、SDM研究科で扱う「システム」は後者です。

システムデザインのVモデルとは?

Vモデルはもともとシステムズエンジニアリングで用いられていた概念であり、システムをデザインする際には、「分解(decomposition)と統合(integration)」「デザイン(design)と評価(verification & validation)」が重要であることを表しています。すなわち、Vの左側が分解、右側が統合です。大規模複雑システムを、サブシステム、サブサブシステム、・・・コンポーネントに分解し、全体から詳細に渡るデザインが終了したら、システムを順に統合していくという意味です。また、Vの左側から右側に向かう矢印は、デザインのそれぞれのレベルに対応して評価を行うことを表しています。
すなわち、コンポーネントレベルからシステムレベルに渡るあらゆるシステムのレベルで着実に評価を行うことの必要性を表しています。さらに、SDMでは、Vのはじめに要求分析とシステムアーキテクティングがあることを強調します。地球環境から社会環境に至るあらゆるステークホルダからの多様な要求を確実に定義し、情報共有し、システムの全体像をアーキテクティングした後に、Vモデルに基づく分解と統合、デザインと評価を行うことが重要です。

システムデザインのVモデル

デザイン思考とは?

一般に、デザイン思考とは、意匠デザインを行う時のような自由なマインドで、技術システムや社会システムのクリエーティブ・イノベーティブなデザインを行うことを表します。一般に、デザイン思考では、チームによる協働、フィールドワーク、プロトタイピングを通して、新しいソリューションを創造することを目指します。SDM研究科でのデザイン思考は、一般に言われているデザイン思考よりもシステマティックです。システムデザインのVモデルに従ってデザイン思考プロセスと手法を整理し、システマティックなデザイン手法を独自開発して用いているため、確実な社会ニーズの理解から、斬新な発想、確実な検証、リライアブルなマネジメントまで、SDM学体系に則った、全体俯瞰的・全体統合的でイノベーティブなデザイン思考を学ぶことができます。