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SDM特別講義 2023年度 春学期

第1回

2023年4月7日
(4月3日入学ガイダンスにて収録)

モデレータ教員:
当麻

Alberto Millán Martín氏

慶應義塾大学経済学部 准教授

Alberto Millán Martín氏

【演題】福澤諭吉の初期作品:古い言葉と新しい思想

講師プロフィール

スペイン・マヨルカ島生まれ。バルセロナ自治大学で翻訳通訳学を修め、大阪大学で博士号(日本語・日本文化)を取得。2016年より慶應義塾で教鞭を執り、スペイン語文法、比較文化論、翻訳学の研究セミナーを担当する傍ら、福澤研究センターなどで福澤諭吉の初期思想研究やその普及に励んでいる。 慶應義塾大学教養研究センター選書『『修身論』の「天」:阿部泰蔵の翻訳に隠された真相』(2019年)では言語学・翻訳学の観点から明治時代の教育の歴史をひもといて、最近の論文では日本の翻訳史概要、日本・スペイン近代教育制度の比較、スペイン語における日本語借用語と日本文化の受容など、言語・文化と歴史・思想をまたぐ幅広い範囲で学際的な人文系研究に日々挑戦している。

講義概要

翻訳学の観点を汲み取り、米国人フランシス・ウェーランドからの影響と『学問のすゝめ』への発展を紹介しながら、「中津留別之書」(1871)に見る福澤諭吉の社会思想を考察していきます。古い時代から新しい時代への円満な移行の試みは、巧みな言葉で紡いだ論理の展開に現れ、現代の私たちにとってもインスピレーションの源になります。


第2回

2023年4月14日

モデレータ教員:
当麻

小池 康博 氏村元 謙太 氏

慶應義塾大学 教授

小池 康博 氏(写真上)


慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート 特任助教

村元 謙太 氏(写真下)


【演題】エラーフリーPOFによる革新的通信システムの開発と今後の展望

講師プロフィール

小池 康博 プロフィール
屈折率分布型プラスチック光ファイバー(GI POF)の発明者として知られている。科学技術振興機構ERATO、内閣府最先端研究開発支援(FIRST)プログラム等の代表研究者を務め、世界最速プラスチック光ファイバー、高精細・大画面ディスプレイによるFace-to-Faceコミュニケーションシステムをテーマに数々の成果をあげる。2022年~情報通信研究機構(NICT)Beyond 5G研究開発促進事業に、最新研究成果である「エラーフリーPOF」による革新的通信システムの開発プロジェクトの提案課題が採択され、代表研究責任者としてプロジェクトを推進中。

講師プロフィール

村元 謙太 プロフィール
2017年3月 慶應義塾大学理工学部 卒業
2018年9月 同大学院理工学研究科 修士課程修了
2021年3月 同大学院理工学研究科 後期博士課程修了 博士(工学)
2021年4月 現職
プラスチック光ファイバ(POF)における微視的な不均一構造と光の相互作用に着目し、POFによる低雑音光伝送の原理について研究している。現在、主に本講義のテーマである「エラーフリーPOF」の研究開発に従事している。
研究分野:高速通信、光ファイバ材料、光デバイス、導波工学、光通信工学

講義概要

2021年9月、慶應義塾からプレスリリース発表したエラーフリーPOFの成果の研究開発提案が、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)「Beyond 5G研究開発促進事業(一般型) Beyond 5G 機能実現型プログラム」に採択され、2022年度より「エラーフリーPOF による革新的通信システムの開発」プロジェクトが始動しております。
本プロジェクトでは、エラーフリーPOFにより、現在データセンター等で必要とされているForward Error Correction (FEC)等の誤り訂正機能を不要とする高速通信技術の確立を目指しています。このエラーフリーPOF伝送システムは、データセンターの省電力化のみならず、自動車、医療、ロボティクス等、大容量リアルタイム通信が必要となる次世代情報産業のコアテクノロジーとなることが期待されています。
本講演では、現在進めているエラーフリーPOFの研究開発の状況を中心に、最新の研究成果、今後の展望をお話し致します。


第3回

2023年4月21日

モデレータ教員:
谷口

垣内 俊哉氏

株式会社ミライロ 代表取締役社長

垣内 俊哉 氏

【演題】バリアバリュー ~障害を価値に変える~

講師プロフィール

1989年生まれ。岐阜県中津川出身。2010年、立命館大学経営学部在学中に株式会社ミライロを設立。障害者や高齢者のサポート方法などを伝える「ユニバーサルマナー検定」や、障害者手帳をデジタル化した「ミライロID」など、障害者をはじめ多様な方々に向けたサービスを展開している。2016年より、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会アドバイザー就任。2022年には財界「経営者賞」を受賞。国家戦略特別区域諮問会議へ参画し、ユニバーサルデザインの推進に関する提言を行う。テレビ東京「ガイアの夜明け」やNHK総合「おはよう日本」などのメディア出演も多数。著書に『バリアバリュー 障害を価値に変える』(新潮社)、『自分の強みの見つけかた』(KADOKAWA)がある。

講義概要

生まれつき骨形成不全症という難病があり、私は幼少期から車いすで生活をしています。歩けるようになりたいと願い続け、何度もリハビリを行いましたが、歩くことは叶いませんでした。
障害があることを卑屈に捉えていた時期もありました。ですが、様々な人との出会いにより、「障害(バリア)は価値(バリュー)に変えることができる」と気付くことができました。
社会には環境、意識、情報の3つのバリアが存在します。これらを解消するため、障害のある社員らとともに、製品開発の支援や教育研修、デジタル障害者手帳「ミライロID」の運営を行っています。
本講では、私が「バリアバリュー」という考え方に至った経緯や、誰一人取り残さない社会の実現に向け、これから私たちが取り組むべきことを事例も交えてお伝えいたします。


第4回

2023年4月28日

モデレータ教員:
谷口

横田 響子氏

株式会社コラボラボ(女性社長.net企画運営)代表取締役

横田 響子 氏

【演題】多様な人材が多様なスタイルで活躍する2040年の労働市場

講師プロフィール

お茶の水女子大学卒業後、1999年株式会社リクルート入社。営業・新規事業および 事業企画を経験後、
2006年株式会社コラボラボ設立(現職)。女性社長 .net(会員約3200名 ※2023年3月現在)、
「J300」など女性社長を応援する企画に注力。約12年、お茶の水女子大学にて女子学生のアントレプレナーシップ教育を担当(2017-2023年 客員准教授)。
Forbes Japan「未来を創る日本の女性!フォーブスが選ぶ10人」等選出。総務省自治体戦略2040構想研究会、
第32・33 次地方制度調査会、財務省財政制度等審議会など男女共同参画、行財政改革・地方自治分野まで多数委員を歴任。
著書に「女性社長が日本を救う!」(マガジンハウス発行)。

講義概要

超高齢化社会で人口減少が進む日本。今後、働き方はどのように変化するのか。
より柔軟な働き方が進み、一人が複数の役割を担う複業があたり前の社会が到来すると考えます。

その上では「新しいことを始めたくなる社会」がキーポイント。
世界に通用するスタートアップだけでなく、地域社会に貢献する小規模ビジネスの重要性も増します。
女性経営者のユニークなビジネスの紹介を通じ、起業を身近に感じること
新しいことを始めたくなる社会のために必要なシステム
そして皆様にとっての2040年の働き方について考える機会を提供します。


第5回

2023年5月12日

モデレータ教員:
新妻

須田 誠舟氏

日本琵琶楽協会会長

須田 誠舟 氏

【演題】日本の琵琶

講師プロフィール

1947年東京生まれ 1968年辻靖剛先生に師事し薩摩琵琶の指導を受ける 1970年日本琵琶楽協会主催「琵琶楽コンクール」で優勝 1991年金田一春彦先生に師事し、平家琵琶の指導を受ける 2001年日本琵琶楽協会理事長 2023年日本琵琶楽協会会長

講義概要

琵琶という楽器を単に一種類のものと考えている人が多いが、雅楽の琵琶、平家琵琶、盲僧琵琶、薩摩琵琶、筑前琵琶、錦琵琶等々、みなその楽器の形態を異にし、その音楽は全く個々別々である。今回は、平家琵琶、薩摩琵琶の実演をお聞きいただき、日本音楽史上で重要な役割を果たしてきた道をたどってみたいと思っています。①『平家物語』という文学作品は、元来、琵琶の伴奏で語る語り物音楽の詞章でした。語り物としての『平家物語』を平家琵琶といい、主として盲人たちによって受け継がれてきました。江戸時代には晴眼者のために楽譜が発達し、『平家正節』等の譜本が今に伝えられています。明治以降、盲人による伝承が絶えかけましたが、多くの研究者による楽譜の解読が進み『平家物語』全段の演奏がよみがえるようになっています。②薩摩琵琶は今から500年前、島津家中興の名君と呼ばれた島津日新公によって始められ、それ以降、武家の音楽として薩摩武士たちの間に浸透し、幾百年にわたって歌い継がれ、情操ゆたかな人格形成の上においても大いに役立ったといわれています、明治以降は広く全国に普及し、現在では様々な演奏表現が行われています。


第6回

2023年5月19日

モデレータ教員:
新妻

砂子 岳彦 氏

武蔵野学院大学 国際コミュニケーション学部 教授

砂子 岳彦 氏

【演題】共生論:平和をもたらす〈わたし〉の幸せ

講師プロフィール

工学修士。研究テーマは量子力学の解釈、そして共生論。この異なる二つの分野の根っこにあるのが存在論です。存在論は「ある」ということを究明します。素粒子が「ある」。〈わたし〉と〈あなた〉は「ある」とは言わず、「いる」。存在の「ある」ことが量子力学によって表現され、わたし達が共に「いる」ことは共生論によって明らかにされます。「ある」と「いる」は存在において表裏をなしています。つまり見るものと見られるものが一枚になっています。

講義概要

世界平和は、各国の利害が絡んでなかなか達成されません。しかし、この問題が政府の問題ではなく、〈わたし〉の問題であり、〈わたし〉の幸せの追求の先にその解決の道があるなら、話は違ってきます。〈わたし〉の幸せとは共振です。友人と語り合っているとき他者と共振し、自分の気に入った服を着ているとき自分自身と共振しています。自分自身との共振から他者への共振を調和的認知に基づいて行うならば、調和がさらに他者の共振を誘発します。このことにより、自らの幸せが他者へ、そして社会へと伝搬してまいります。このような共生の自然な拡張は、昨今の災害ボランティアや合気道などに見られる内属的共同性の実現として現れています。さまざまな事例から、自己調和から平和への道筋を科学します。


休講

2023年5月26日

 

第7回

2023年6月2日

モデレータ教員:
吉田

森 俊彦  氏

一般社団法人 日本金融人材育成協会 会長

森 俊彦 氏

【演題】中小企業経営における金融財務戦略 ~中小企業金融の最新動向と政府の施策~

講師プロフィール

東京大学卒、日本銀行入行。シカゴ大学大学院(経済学マスター)、信用機構局参事役(バーゼル銀行監督委員会・日本代表)、金沢支店長、金融高度化センター長を歴任。元金融庁参与。 現在、足利銀行取締役、西尾信用金庫理事、住友生命社外委員、マネジメントパートナーズ経営顧問、中小機構「業務功労者感謝状受領者(中小企業応援士)選定委員会」委員長を兼務。

講義概要

コロナ禍、国際紛争等、“非”連続なVUCA(・Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)の環境下、現在、赤字・債務超過企業に止まらず、黒字企業も、未来に向けた「持続的な稼ぐ力と自己変革力の向上」は待ったなしである。
経営者自らが、環境変化を踏まえて経営課題を冷静に見極め、迅速果敢に対応・挑戦する「自己変革力」が求められており、金融機関等の「新たな伴走支援」の実践力が問われている。
そこで、本セミナーでは、最新の中小企業行政と金融行政のポイントを整理し、「金融機関の持続可能な収益性や将来にわたる健全性を具体的にどのように構築していくのか」の観点から、次のような点を取上げ、明日からの実践での活用を目指す内容としている。
(1)過大債務企業やスタートアップへの経営支援の実例
(2)金融機関の「使命」と「支援機関との連携」
(3)政府の①「課題設定型伴走支援」②「スタートアップ支援(知財・無形資産の活用)」③「中小企業・小規模事業者のデジタル化/DX支援(みらデジ)」のポイント
(4)中小企業経営者の生の声(金融機関への思い)
(5)質疑


第8回

2023年6月9日

モデレータ教員:
前野

有沢 正人 氏

カゴメ株式会社 常務執行役員CHO(最高人事責任者)

有沢 正人 氏

【演題】毎年進化するカゴメの”生き方改革”とこれからの人事制度の在り方~組織をさらに強くするためのカルチャーの醸成のためには~

講師プロフィール

1984年に協和銀行(現りそな銀行)に入行。 銀行派遣により米国でMBAを取得後、主に人事、経営企画に携わる。
2004年にHOYA㈱に入社。
人事担当ディレクターとして全世界のHOYAグループの人事を統括。全世界共通の職務等級制度や評価制度の導入を行う。
また委員会設置会社として指名委員会、報酬委員会の事務局長も兼任。
グローバルサクセッションプランの導入等を通じて事業部の枠を超えたグローバルな人事制度を構築する。
2008年にAIU保険会社に人事担当執行役員として入社。ニューヨークの本社とともに日本独自のジョブグレーディング制度や評価体系を構築する。
2012年1月にカゴメ㈱に特別顧問として入社。
カゴメ㈱の人事面でのグローバル化の統括責任者となり、全世界共通の人事制度の構築を行っている。
2012年10月より執行役員人事部長に就任。
2018年4月より常務執行役員CHO(最高人事責任者)となり国内だけでなく全世界のカゴメの人事最高責任者である。

講義概要

従業員の「働き方」は雇用や報酬等を取り巻く環境と共に大きく変貌を遂げようとしている中、企業経営において人事部門の役割はますます高まってきています。また「人的資本経営」の拡充により、今や人事戦略は企業戦略の中でも最も重要な戦略と位置付けられます。それと同時に会社と従業員との関係も新しい局面を迎えており、その中でも多様な価値観をもつ人材のマネジメントが喫緊の課題となっております。さらにエンゲージメントの向上は最も重要なファクターであり人的資本向上のカギとも言えます。本講演では「ジョブ型」人事をはじめ今の時代だからこそあるべき未来の“理想の働き方”から考える人事制度改革、ならびに後継者育成やHRBP制度について論じます。


第9回

2023年6月16日

モデレータ教員:
吉田

西島 豊 氏

西島株式会社 代表取締役社長

西島 豊 氏

【演題】一流の製品は一流の人格から~一生元気、一生現役~

講師プロフィール

1979年旧西ドイツ連邦共和国カールスルーウェ生まれ。2005年西島株式会社入社。取締役改革推進本部長などを経て2014年に4代目として代表取締役社長就任。現在、グループ会社の西島メディカル株式会社、株式会社タンネパートナーの代表取締役も兼務。
2017年経済産業省はばたく中小企業・小規模事業者300社認定、2018年経済産業省地域未来牽引企業認定、2021年人を大切にする経営学会第11回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞受賞企業。

講義概要

『一流の製品は一流の人格から~一生元気、一生現役~』をモットーに、1924年の創業以来、定年がない会社としてベテランも若手も、女性も外国人も、そして障害を抱える方も関わるすべてのひとが活躍できるものづくり企業として徹底した『ひとづくり』に取組んできた西島株式会社。

勤続66年(85歳)を超える匠の技術と経験を武器に専用工作機械を世界に届ける西島株式会社では、匠だけではなく働くすべての社員に役割があります。会社からそして社会から必要とされるからこそ、やり甲斐が生まれ、そして働き甲斐になって生涯の生き甲斐になっていく。そんな働くすべてのひとが輝くことができる会社を社員と一丸となって取り組んでいます。


第10回

2023年6月23日

モデレータ教員:
山形

中津 欣也 氏

㈱日立製作所 研究開発グループ 主管研究長

中津 欣也 氏

【演題】カーボンニュートラルを牽引する社会システムの進化について

講師プロフィール

1994年に㈱日立製作所 日立研究所に入社、省エネに必要なインバータ、パワーエレクトロニクスの研究開発に従事、Made in JAPANを支える産業機器の開発を推進、1998年にマイクロプロセッサを内蔵したパワーモジュールを開発し搭載した産業用インバータを製品化、日本電機工業会から「電機工業技術功績者表彰奨励賞」を受賞。
2000年から、ハイブリッド自動車やEV向け駆動装置の製品化を牽引、2004年に世界初の直接水冷型パワーモジュールを搭載した高出力密度インバータを製品化、2013年から5年間にわたり同研究所のパワーエレクトロニクスシステム研究部の部長を務め、この間に世界初の直接水冷型両面冷却パワーモジュール及びEV駆動用小型インバータの製品化を行い、学位を取得。
2018年より同研究所の主管研究長に就任、カーボンニュートラル化の加速に向けて電動航空機やEV充電スタンドの開発を指揮、これまでに、「文部科学省文部科学大臣表彰」、「市村地球環境産業賞」、「大河内記念賞」、「つくば奨励賞」など数多くの表彰を受賞、現在に至る。

講義概要

カーボンニュートラルの実現に向けて世界各国、各地域で具体的な取り組みが進み始めた。各事業部門では、これまで構築してきたシステムを大きく見直すことで脱炭素化を急いでいる。電力部門では、再生可能エネルギーの導入の拡大、水素発電に向けたインフラ強化や地産地消化を進め、電化、電動化を促進するEV充電環境の整備も進めている。一方、輸送や産業部門では電化、電動化による二酸化炭素の直接排出の低減を推進しながらシステム効率の向上に向けて高効率化や小型軽量化を進めている。一方、DX基盤に欠かせないデータセンターでは、太陽光などの再エネ起因の電力による運用が始まりつつある。
この様に、様々な事業部門ではシステム全体を見据えて更なる高効率化に向けた材料開発や制御性能の向上、更にはシステムレベルの技術革新が急速に進もうとしている。
本特別講義では、講師が経験してきた輸送部門での脱炭素化に向けたイノベーションによるシステム進化に関する開発経験をもとに、開発リーダーに求められる視点について解説する。更に、モビリティを切り口とした社会システムの進化の方向性についても、最新の動向などを例に解説する。


第11回

2023年6月30日

モデレータ教員:
矢向

長谷川 康一 氏

UiPath株式会社 代表取締役CEO

長谷川 康一 氏

【演題】Brimming with Curiosity (あふれ出る好奇心) -デジタル新時代で羽ばたくために-

講師プロフィール

広島県出身 慶應義塾大学法学部法律学科卒業。
アーサーアンダーセン(現アクセンチュア)に入社後、ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行、バークレイズ銀行に勤務、コンサルテイング業務、CIO(Chief Information Officer)、COO(Chief Operating Officer)等を歴任。
東京をはじめシカゴ、ニューヨーク、シンガポール、香港など、海外拠点でのマネジメント経験も豊富。バークレイズ銀行では、シンガポールを拠点にグローバルテクノロジーの3分の1にあたる​1万人規模をAP CIOとして統括、日本の取締役COOも兼任。
2017年2月にUiPath日本法人を設立以降、数多くの日本を代表する企業のDX推進を成功させ、3年でRPA業界のリーデイングカンパニーへ。現在はAI&Automationを推進中。
日本を元気にするために、「1人1人がデジタルロボットを」「現場が主役の、輝く新しい自動化」を提唱している。

筑波大学客員教授
著書:『現場が輝くデジタルトランスフォーメーション』、『現場が主役の日本型DX』(ダイアモンド社)

講義概要

今回は2つのテーマについて、受講生の方の反応も見ながら話したいと思います。

様々な外資企業および海外拠点でビジネスを経験したのち、1人でスタートアップ日本法人を立ち上げ、3年でリーデイングカンパニーに成長させた経験、200人を超える日本のトップ経営者達、CIO、CDOと日本の現場に向き合いDX推進に取り組んで得た学び、そして2021年のNYSE上場に大きく貢献した自らの体験等を紹介しながら、参加者の皆様とともにこれからの時代をリードする人財について考えます。

RPA、AI、特に生成系AI……今、私たちを取り巻くデジタル技術は驚くほどのスピードで成長し、活用分野も多様化しています。 その中で新しいautomationと日本発のDXについて考えていきたいと思います。


第12回

2023年7月7日

モデレータ教員:
当麻

吉盛 真一郎 氏

(株)環のもり 代表取締役 兼 Wano Café (Pvt) Ltd. 代表取締役

吉盛 真一郎 氏

【演題】『Power Woman 100』 女性のリーダー達はどのように生まれるか

講師プロフィール

慶應義塾大学 経済学部卒。日本・香港・スリランカ・インドにて、日系企業の会計税務業務・コンサルタント業務に従事しつつ、2012年にスリランカにてコーヒー事業会社 Wano Cafe (Pvt) Ltd.を立ち上げ、2018年に日本法人 (株)環のもり を設立、女性のみで完結させる現地生産組合およびカフェの運営、教育事業支援、人材派遣支援、リスクコンサルタント業務等を行っている。

講義概要

2012年より、スリランカ国におけるコーヒー事業を推進するべく、200軒以上の農家からなる女性生産組合運営、および延べ30名の女性のみの直接雇用を行いながら、現地カフェ開業10周年を迎える今年、『Power Woman 100 -セイロン・テ・カフェ(珈琲葉茶)と女性リーダー100人-』 プロジェクトを立ち上げた。

2016年の"セイロン・テ・カフェ(珈琲葉茶)" の開発構想と試験的推進以来、日本のメディアへの紹介、コロナ禍のオンラインツアーの実行など、地道な活動こそ継続していたものの、"テ・カフェ"はコーヒー事業においては副次的な存在にとどまっていた。現地カフェ開業10周年を迎えるにあたり、これまでの女性総動員の戦略方針と掛け合わせることで、「昨今の政治経済崩壊危機にあるスリランカにおいて、女性こそが救世主となる。」という仮説に基づき、南アジアにおける女性史、コーヒー産業の特徴と問題点等を紹介しつつ、当仮説の実証手段としての”テ・カフェ”プロジェクトの成否について、参加者とともに考えていく。


第13回

2023年7月14日

モデレータ教員:
西村

前田 富士男 氏

慶應義塾大学文学部名誉教授/中部大学民族資料博物館客員教授

前田 富士男 氏

【演題】「ポリネーションとしての<イメージ行為>──建築と音楽にみるオーダーズ・エンジニアリング」

講師プロフィール

1944年横浜生まれ。慶應義塾普通部、同高校、同大学工学部管理工学科卒、同大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒。同大学院博士課程単位取得退学。神奈川県立近代美術館学芸課、ボン大学留学 (DAAD)を経て、北里大学教養部講師・助教授から慶應義塾大学文学部助教授、教授。ミュンヘン大学客員教授(1991-92)、慶應義塾大学アート・センター所長、日本学術会議第一部会員(20・21期)、大学評価・学位授与機構運営委員ほかを歴任。2009年慶應義塾大学退職後、中部大学人文学部教授、同大学国際人間学研究所所長、文部科学省独立行政法人評価委員会(国立美術館部会長)に就く。ゲーテ自然科学の集い代表、三田芸術学会会長、アート・ドキュメンテーション学会会長、形の文化会会長から現在、DNP文化振興財団評議員。
なおこの講義には、ゲストとして千葉工業大学社会システム科学部助教・髙松佑介氏に参加していただく。同氏は慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程を修了後、チューリヒ大学に留学。2021年にF.シューベルト研究で博士号を授与された新進の音楽学研究者で、卓抜なピアノ演奏でも知られる。

講義概要

「イメージ」は、実在する対象の発信する情報とは別様な、感性知への、つまり知の行為への呼びかけである。それは、整序された記号的意味情報へと収束せず、制作(ポイエーシス)のプロセスで、生命体・有機体と同じく多態化・多動化し、創発的作品を生みだす。
種子植物の雄ずいが発出する花粉は大気・水流・動物などの媒介をへて雌ずいに到達する。この花粉(pollen)の移動は今日、「ポリネーション」と呼ばれる。花粉の送粉・受粉が果実・種子をつくり、新しい個体を生むことは古くから知られてきたが、この花粉の移動過程で実現する気体・液体・動物個体をめぐる相変化、つまり生態環境を素地とする多態化・多動化があらためて注目されるからである。たとえば風媒花や水媒花の花粉は多様な形態や機能を獲得し、さらに動物媒介では動物の栄養摂取の機構さえ変容させてしまう。
われわれはポリネーションの概念を芸術制作のプロセスに適用してみたい。というのも、この概念の最初の理解者というべき自然科学者ゲーテは、生物におけるポリネーションを遺伝的形質の変化・進化と把握しながらも、晩年の自然科学論(1820)で植物の生長における周知のメタモルフォーゼ概念とは別様に、生長の場・環境からの「解放」や自由を「ポリネーション」に見いだすからである。
芸術制作とは、さまざまな部分からひとつの有機的全体として作品を生みだす行為である。これは、独りよがりに「無から有を」つくる過信ではない。あくまで、歴史的に先行する作品の様式規範やイメージの伝承を踏まえつつ、「有から有を」生む行為にほかならない。このとき芸術的行為は、作品の進歩や鑑賞者の肯定的評価をめざしたりしない。芸術的価値は、つねに批判や解放を志向する。だからこそ、ポリネーションが開示する解放は、創発たりうる。
この講義では、部分と全体の分節構造を具現する芸術作品として、建築と音楽を考察する。建築作品は、ゲーテ自ら手がけたヴァイマルの《ローマ荘》(1797)、ル・コルビュジエ《サヴォワ邸》(1931)、D・リーベスキント《ドイツ軍事史博物館》(2011)ほかを検討する。音楽作品については髙松佑介氏が担当し、F. シューベルト《ピアノ・ソナタ第20番イ長調》(D 959/1828)の第2楽章を扱う。音楽は時間芸術ゆえ、自律性を確保するために部分の反復を不可欠とする。この楽章では冒頭の旋律が様々に変容しながら出現するため、ある旋律を一定の記号で提示する「形式」と反復時の創発的な聴取体験との関係に焦点を当て、音楽における有機性や多態化の問題を検討する。
芸術作品の構造について、いわば制作行為がつねに「問いかけ」の営みである以上、部分と全体との関数的関係としてのシステムというより、部分と全体との位相的関係としてのオーダー(order)を視野におき、オーダーズ・エンジニアリングという観点を提出し、討議の手がかりともしたい。


第14回

2023年7月21日

モデレータ教員:
猪熊

原 丈人 氏

アライアンス・フォーラム財団 会長
デフタ パートナーズ グループ会長

原 丈人 氏

【演題】公益資本主義―福沢諭吉と日本人を豊かにする。

講師プロフィール

27歳まで中米考古学研究後、Stanford工学部在学中に光繊維事業を創業。1984年デフタ パートナーズを設立し、米英イスラエルを拠点に活動。1990年代には全米第2位のベンチャーキャピタルの経営者となった。1985年アライアンス・フォーラム財団(国連経済社会理事会の特別協議資格を持つ合衆国非政府機関)設立。1990年代後半からは、株主資本主義の弊害を指摘し、世界中で教育を受けた健康で豊かな中間層を創るべく、公益資本主義の普及に努める。2000年代には、国連政府間機関特命全権大使、財務省参与、政府税制調査会特別委員、米共和党ビジネス諮問会議名誉共同議長、ザンビア大統領特別顧問のほか、2013年からは経済財政諮問会議専門調査会会長代理、未来投資会議構造改革推進徹底会議など8年間にわたり内閣府参与として加わり、法務省危機管理会社法制会議議長なども歴任した。香港中文大学医学部栄誉教授 兼 経営大学院招聘教授も務める。