MENU

SDM特別講義 2021年度 春学期

第1回

2021年4月9日

モデレータ教員:
当麻

都倉 武之 氏

慶應義塾福澤研究センター 准教授

都倉 武之 氏

【演題】『学問のすすめ』の読み方

講師プロフィール

2002年慶應義塾大学法学部政治学科卒業、2007年同大学院法学研究科博士課程満期単位取得退学。武蔵野学院大学専任講師を経て2007年慶應義塾福沢研究センター専任講師、2011年より現職。『近代日本と福沢諭吉』(共著:慶應義塾大学出版会、2013)ほか。5月に三田キャンパスに開館する「福澤諭吉記念慶應義塾史展示館」副館長。専門は、近代日本政治史・政治思想史、メディア史。

講義概要

福澤諭吉には様々な著作がありますが、なかでも誰もがよく名前を知っているのは『学問のすすめ』ではないでしょうか。近年では現代語訳も複数出てビジネス書としても定番になっています。一方で、この本は人間の平等を説いた本ではない、とか、格差社会を生んだ元凶の思想である、とか、すぐ役に立つ実学を奨励した本である、など、歴史的背景からみると必ずしも正確ではない評価が案外流布しており、歴史上の書物としては十分理解されていないように思います。この本の性格を紹介することを通じて、福澤諭吉という人物のものの見方や、その教育者としての姿勢、大学で学ぶ我々に今なお活きる点などについて皆さんと考える機会になればと思います。


第2回

2021年4月16日

モデレータ教員:
前野

石山 アンジュ 氏

一般社団法人PublicMeetsInnovation代表
一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局長

石山 アンジュ 氏

【演題】シェアから考えるこれからの豊かさ

講師プロフィール

1989年生まれ。「シェア(共有)」の概念に親しみながら育つ。シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。2018年ミレニアル世代のシンクタンク、パブリックミーツイノベーションを設立、代表に就任。ほかに新しい家族「拡張家族」Cift 代表理事。著書「シェアライフ-新しい社会の新しい生き方(クロスメディア・パブリッシング)」がある。世界経済フォーラム Japan Council メンバー、テレビ朝日 羽鳥慎一モーニングショーコメンテーター。

講義概要

当たり前とされてきた社会の前提を失いつつある今、本当の豊かさとは何かを再定義する時がきている。
シェアが広がった世界の経済、社会、文化・思想、生き方を紐解いていく。


第3回

2021年4月23日

【休講】

第4回

2021年4月30日
(公開講座)

モデレータ教員:
前野

田口 一成 氏

株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長

田口 一成 氏

【演題】社会を再構築するソーシャルビジネスの作り方

講師プロフィール

1980年生まれ。福岡県出身。
大学2年時に栄養失調に苦しむ子どもの映像を見て「これぞ自分が人生をかける価値がある」と決意。早稲田大学在学中にワシントン大学へビジネス留学。株式会社ミスミに入社後25歳で独立し、ボーダレス・ジャパンを創業。世界13ヵ国で37社のソーシャルビジネスを展開し、2019年度の売上は54億円。
2018年10月には「社会起業家の数だけ社会課題が解決される」という考えのもと、社会起業家養成所ボーダレスアカデミーを開校し、開校から1年半で250名以上が受講。次々とソーシャルベンチャーを生み出すボーダレスグループの仕組みは、2019年グッドデザイン賞を受賞した。2019年日経ビジネス「世界を動かす日本人50」、Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」に選出。2020年4月には地球温暖化問題を解決すべく、再生可能エネルギーを提供する新規事業「ハチドリ電力」を立ち上げる。
プロフィール詳細
ハチドリ電力詳細

講義概要

ボーダレス・ジャパンは創業以来、貧困問題、地球温暖化、人種差別、性差別、難民問題など、様々な社会問題をビジネスで解決することに挑戦しています。
人々の生活を豊かにするために利益を追求してきたこれまでのビジネスは、世界中で大きな格差を生み出しています。そういった従来のビジネスから取り残されてきた非効率な領域を含めて、いちからビジネスを再構築していくこと、それがソーシャルビジネスです。
ボーダレスグループは「自分はこんな社会問題を解決したい」という志を持った社会起業家が集まる場所です。ではどのように起業家を増やしていくのか、どうやってビジネスをたくさん作るのか、どうやって世界に広げるのか、ボーダレス・ジャパンの仕組みや事例を紹介しながらお話させていただきます。


第5回

2021年5月7日

モデレータ教員:
西村

森山 雅之 氏

株式会社小松製作所 取締役 専務執行役員 マイニング事業本部長

森山 雅之 氏

【演題】建設・鉱山現場におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)

講師プロフィール
1982年 3月 慶応義塾大学 工学部機械工学科卒業
株式会社小松製作所入社
1990年 5月 Cornell University 修士課程 (Mechanical Engineering) 修了
2010年 4月 執行役員 開発本部 建機第一開発センタ 所長
2014年 4月 執行役員 コマツアメリカ(株) 社長 兼 COO
2017年 4月 常務執行役員 マイニング事業本部長
2019年 6月 取締役 専務執行役員 マイニング事業本部長
現在に至る
講義概要

コマツは、「安全で生産性の高い スマートでクリーンな未来の現場」を実現すべく、ダントツ商品、ダントツサービス、ダントツソリューションの開発と導入を通じて、お客さまの現場をお客さまとともに革新し、新しい価値を創造するイノベーションを提供すること目指しています。今回の講義では、ビジネス戦略として掲げる「イノベーションによる成長」、なかでも、デジタル技術を活用したソリューションである、『無人ダンプトラック運行システム(AHS)』と『スマートコンストラクション』についてご紹介いたします。これらの事例を通して建設・鉱山現場におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の現状、ならびに、動向をご説明するともに、発展させていくための課題についても考察したいと思います。


第6回

2021年5月14日

モデレータ教員:
谷口(智)

丸谷 明彦 氏

公安調査庁研修所 所長

丸谷 明彦 氏

【演題】インテリジェンスと行政

講師プロフィール
1985年 早稲田大学卒業
1988年 公安調査庁入庁(国家公務員Ⅰ種 社会職)
1995年 米・連邦捜査局
1996年 米・司法省
1998年 外務省
2002年~06年・
2009年~12年
米・CSIS(戦略国際問題研究所)
2014年 公安調査庁調査第二部第二課長
2018年から現職
講義概要

公安調査庁は法務省に属する組織ですが,ほとんどの方は御存じないと思います。そこで前半は公安調査庁の業務や職員の育成方法などについて,御説明申し上げたいと思います。後半は今から25年ほど前に現在の日本政府の基本的な枠組みを形作った橋本総理の下での「行政改革」における個人的な体験を御紹介しつつ,その後の日本でのインテリジェンスの新しい動きや課題などについて,システムズ・エンジニアリングの視点から御報告させていただきたいと思います。以上二つの項目について,冒頭60分前後,お話させていただき,後半の30分は皆様から御質問,御意見をいただくという流れにしたいと存じます。なお見解にわたる部分は全て個人的なものであることを御了解いただければ幸いです。


第7回

2021年5月21日

モデレータ教員:
白坂

羽深 宏樹 氏

経済産業省 商務情報政策局 ガバナンス戦略国際調整官
弁護士(日本・ニューヨーク州)

羽深 宏樹 氏

【演題】デジタル時代におけるガバナンスシステムのデザイン

講師プロフィール

経済産業省にて、デジタル時代の社会変化を踏まえたガバナンス改革に関する政策立案を行う。「GOVERNANCE INNOVATION」報告書(2020年7月)及び「GOVERNANCE INNOVATION Ver.2:アジャイル・ガバナンスのデザインと実装に向けて」(2021年2月)の執筆主担当者。東京大学法学部卒、東京大学法科大学院及びStanford Law School修了。2020年10月より、東京大学公共政策大学院非常勤講師。

講義概要

AIやIoT、ビッグデータなどによって、我々の生活は、年々、より便利で快適になっています。他方、人類史上かつてない速度で社会が変化し、複雑化する中で、プライバシーへやセキュリティ上のリスク、勝者総獲りの市場、ターゲティング広告による社会の分断、環境破壊など、様々な問題も顕在化しています。デジタル技術のもたらす正のインパクトを最大限に引き出しつつ、その中で、各個人が本当に自由で幸福といえる人生を送ることを可能にするためには、技術だけでなく「ガバナンス」のシステムも同時に革新することが必要です。なぜなら、従来型の硬直的なルールでは、新たに発生するリスクを適切に評価できない一方で、イノベーションがもたらす様々な価値の実現を阻んでしまうからです。こうした問題意識のもと、経済産業省に設定された有識者委員会は、法律や企業統治(コーポレートガバナンス)、市場等の様々なガバナンスメカニズムを高速かつ継続的に見直し続ける「アジャイル・ガバナンス」の考え方を提唱しました。本講義では、有識者委員会の報告書である「GOVERNANCE INNOVATION Ver.2:アジャイル・ガバナンスのデザインと実装に向けて」をベースに、これからの法律や組織マネジメントをどのようにデザインしていくべきかを議論します。
【参考リンク】
https://www.meti.go.jp/press/2020/02/20210219003/20210219003-1.pdf


第8回

2021年5月28日

モデレータ教員:
西村

乙葉 茂 氏

株式会社東芝 CPSxデザイン部 戦略デザイン部 ゼネラルマネジャー

乙葉 茂 氏

【演題】東芝におけるビジネスデザインの活動紹介

講師プロフィール

1991年東芝に入社。家電製品のプロダクトデザインを担当ののち、UIデザイン担当としてコンシューマープロダクトからインフラまで幅広く担当、2011年の震災を機にコミュニティデザイングループを立ち上げ、エネルギーを含む社会インフラの提案全般を担当し現在に至る。

講義概要

社会インフラをデザインする。普段みなさんが当たり前に過ごしている生活の裏側には、普段は目にすることがない製品やシステムが存在し、様々な企業体や生活者を含む関係者(ステークホルダー)が互いに有益な関係を保っています。ステークホルダーと同じ未来を共有し、その未来を実現するために、誰にとってどんな価値を想像(イマジネーション)し、創造(クリエイション)しなければならないのか?企業の事業戦略への関りから、みなさんが学校で習うビジネスデザインに活用するツールを実際の業務に活用するときのコツなど、事業開発における現場の実事例をご紹介します。


第9回

2021年6月4日

モデレータ教員:
谷口(智)

藤本 敦也 氏

株式会社三菱総合研究所 経営イノベーション本部 シニアプロデューサー

藤本 敦也 氏

【演題】つながりから新しい価値共創へ~「3Xと共領域」

講師プロフィール

1980年、大阪生まれ。東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程修了。ESADEビジネススクール(バルセロナ)MBA(2016年)。2006年、三菱総合研究所入社。同社未来構想センター シニアプロデューサー。専門は、新規事業開発、組織戦略(経営統合等)。ブレインテックなどの先端技術を活用した新規事業から、ペットビジネス、シニアビジネスなど多岐にわたるコンサルティングサービスを現場・ユーザーを強く意識し展開。技術・マクロトレンドと人・社会の変容を織り交ぜた、未来社会像構築も多数実施。ワイズポケットの創業メンバーでもある。

講義概要

50年後の「100億人・100歳時代」に向けて豊かさと持続可能性を両立させるには、革新技術によるデジタル、バイオ、コミュニケーションの変革である「3X(DX・BX・CX)」と、未来のコミュニティの「共領域」がキーになります。
3Xという技術進展は社会を大きく変えますが、それだけでは豊かさは実現できません。多様な目的・価値観をもった人々を結びつけ、共創による価値を創出する場としての共領域が必要となります。共領域の実現は、感情や経験を共有できるエコシステムと、貨幣だけではない新たな価値交換の仕組みによって達成されます。
本講義では、3Xと共領域についてご紹介した後に、特にコミュニケーション革命がもたらす、感情や経験が共有される未来社会像を具体的にご説明したいと思います。どんな生活をしているのか、どのように学んでいるのか、どんな働き方をしているのか、などについて萌芽やアンケートなども踏まえつつ、皆さんと一緒に楽しく議論したいと思います。

山本 奈々絵 氏

株式会社三菱総合研究所 経営イノベーション本部 コンサルタント

山本 奈々絵 氏

【演題】地球の持続可能性の確保~「しん・もったいない」行動変容を起こす社会システムへ~

講師プロフィール

2012年京都大学大学院工学研究科修士課程を修了し、同年三菱総合研究所入社。専門領域は、食農ビジネス、次世代フードシステム、持続可能な地域産業づくりなど。情報発信実績としては、『「100億人・100歳時代」の豊かで持続可能な社会の実現』(三菱総合研究所50周年記念研究)、『ThinkLink 新たな消費はサステナブルな社会を作るのか?』(三菱総合研究所WEBサイト、2020~)ほか。

講義概要

地球の持続可能性を評価する指標「エコロジカルフットプリント」では地球1個分が持続可能な状態ですが、2020年は地球1.7個分であり、既に「非」持続可能な状態に陥っています。
50年後の「100億人・100歳時代」に地球が持続可能な状態であるかどうかは、今から勝負の10年の我々の行動にかかっています。
本講義では、”精神論や我慢ではなく真の持続可能性と豊かさを両立する”「しん・もったいない」という考え方、そして、”「3X」と「共領域」により、いかにひとりひとりの行動変容と価値創出を起こしていくか”皆様と議論したいと思います。


第10回

2021年6月11日

モデレータ教員:
谷口(智)

津村 怜花 氏

尾道市立大学経済情報学部 准教授

津村 怜花 氏

【演題】福澤諭吉と西洋簿記の移転

講師プロフィール

2005年香川大学経済学部卒業、2010年神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了、博士(経営学)。事業創造大学院大学講師、高松大学経営学部講師、同准教授を経て2017年より現職。中野常男・清水泰洋編著『近代会計史入門』同文舘出版、北村敬子編著『会計研究者として活躍する女性たち』中央経済社などに分担執筆。専門は簿記、財務会計、会計史。

講義概要

今年度のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の舞台でもある江戸時代末期~明治時代にかけて、わが国には多くの西洋の知識、技術、文化が移転され、急速に近代化がすすめられました。ドラマの主人公である渋沢栄一と同様に、当時活躍した人物のひとりである福沢諭吉は『西洋事情』などの書物を通して、積極的に西洋の知識や技術、文化を伝え、日本の近代化に貢献しました。
その中で、今回の授業で取り上げるのは、西洋簿記という西洋の記帳技術の移転についてです。わが国には固有の記帳技術である「帳合」が使われている中、福沢諭吉によって西洋簿記の印刷教本が翻訳・出版されました。原著はBryant等によるアメリカの簿記の教科書の入門編であり、商人ではなかった福沢諭吉にとっては翻訳するのも大変な作業だったといわれています。
なぜ専門外の簿記の教科書の翻訳を福沢諭吉は行ったのでしょうか?また、新たな知識や技術を伝えるため、翻訳に際してどのような工夫が必要だったのでしょうか?歴史を紐解くことで、近代技術としての西洋簿記の知識と、それを移転させるための工夫を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


第11回

2021年6月18日

モデレータ教員:
西村

山本 龍彦 氏

慶應義塾大学大学院法務研究科 教授
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート 副所長

山本 龍彦 氏

【演題】AIと憲法

講師プロフィール

1999年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2001年、同大学院法学研究科修士課程修了。2005年、同大学院法学研究科博士課程単位取得退学。2007年、博士(法学・慶應義塾大学)。桐蔭横浜大学法学部専任講師、同准教授を経て現職。総務省「AIネットワーク社会推進会議(AIガバナンス検討会)」構成員、内閣官房行政改革推進本部EBPM推進委員会「データ利活用ワーキンググループ」委員、経産省「AI原則の実践の在り方に関する検討会」委員、総務省「プラットフォームサービスに関する検討会」委員(21年2月~)、総務省「放送分野の視聴データの活用とプライバシー保護のあり方に関する検討会」(21年4月~)、総務省「電気通信事業ガバナンス検討会」(21年4月~)などを務める。

講義概要

世界的に、AIの利活用をめぐる法規制のあり方が議論されている。本講演では、こうした法規制の背景にある法的・倫理的諸問題を、憲法学の視点から読み解いていきたい。とくに、AIの利活用がプライバシー、自己決定、平等、民主主義に与える影響に着目していきたい。


第12回

2021年6月25日

モデレータ教員:
谷口(尚)

山中 武 氏

株式会社マルニ木工 代表取締役会長

山中 武 氏

【演題】世界の定番を目指して

講師プロフィール

1970年生まれ。1993年慶應義塾大学経済学部を卒業後に渡米。1995年ウィスコンシン大学ミルウォーキー校経営大学院(MBA)を卒業後に帰国。1996年三井信託銀行株式会社(現在の三井住友信託銀行株式会社)に入社。2001年株式会社マルニ(現在の株式会社マルニ木工)に入社。入社後、銀行での経験を生かして会社を立て直すとともに、木工家具メーカーとしてデザインやモノづくりを見つめ直し、外部デザイナーとの取り組みを推進。2008年プロダクトデザイナーの深澤直人氏と協働してHIROSHIMAを発表。同年株式会社マルニ木工代表取締役社長に就任。2021年株式会社マルニ木工代表取締役会長に就任。

講義概要

マルニ木工は昭和3(1928)年創業の家具メーカーです。昭和50年代には「東洋一の家具メーカー」と呼ばれるほどに業容の拡大を図りましたが、バブル経済崩壊以降、非常に苦戦し、倒産の危機にまで追い込まれました。そんな中、世界的に活躍しているプロダクトデザイナーの深澤直人氏と出会い、2008年に「HIROSHIMA」という名前のアームチェアを発表して以降、会社は大きく変わりました。夢でしかなかった海外への進出も今となっては世界30の国と地域にまで展開が広がりました。2017年にはカリフォルニア州にあるAppleの本社Apple Parkに数千脚ものHIROSHIMAアームチェアを納品することが出来ました。商品開発が変わり、工場が変わり、マルニ木工を取り巻く環境が大きく変わりました。これも創業者が掲げた「工芸の工業化」というモットーを胸に、様々な経験の中で技術力を高め、その技術力を生かす素晴らしいデザインとの出会いがあって実現したことです。今は、「100年経っても『世界の定番』として認められる木工家具をつづり続ける」というビジョンを掲げ、家具作りに励んでいます。その変遷を会社の歴史をたどりながらお話しします。


第13回

2021年7月2日

モデレータ教員:
前野

横田 南嶺 氏

臨済宗円覚寺派管長 花園大学総長

横田 南嶺 氏

【演題】禅の教えに学ぶ ―円覚寺開創の精神とその伝承―

講師プロフィール

昭和三十九年 和歌山県新宮市に生まれる。昭和六十二年筑波大学卒業。平成二十二年、臨済宗円覚寺派管長に就任。平成二十九年花園大学総長に就任

講義概要

鎌倉にある円覚寺は、元の大軍が攻めてきた弘安の役の翌年に開創されました。時の執権北条時宗公が、南宋から無学祖元禅師を招いて開山しました。それは元寇で亡くなった多くの御霊を敵味方の区別無く、平等に供養するという心からでありました。これを「怨親平等(おんしんびょうどう)」と言います。この精神はずっと受け継がれてきました。
明治時代に釈宗演老師という方が管長になり、海外にも禅を弘めるきっかけとなりました。宗演老師は慶應義塾にも学ばれた方です。シカゴの万国宗教会議で演説され、これが仏教が西洋社会に知られる嚆矢となりました。このご縁で、鈴木大拙が渡米するようになり、今やZenは世界に通用する言葉となっています。円覚寺の開創の精神と、今日のZenに到るまでの伝承と、そしてコロナ禍の今に思う事をお話したいと思っています。


第14回

2021年7月9日

モデレータ教員:
谷口(智)

坂野 晶 氏

一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン 代表理事

坂野 晶 氏

【演題】コミュニティからはじめるシステムチェンジ

講師プロフィール

兵庫県西宮市生まれ、鳥好き。絶滅危惧種の世界最大のオウム「カカポ」をきっかけに環境問題に関心を持つ。大学で環境政策を専攻後、モンゴルのNGO、フィリピンの物流企業を経て、日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町の廃棄物政策を担うNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーに参画。理事長として地域の廃棄物削減の取組推進と国内外におけるゼロ・ウェイスト普及に貢献する。米マイクロソフトCEOらとともに、2019年世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)共同議長を務める。2020年より一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンにて循環型社会のモデル形成・展開に取り組む。2021年現在、京都大学大学院 地球環境学舎 修士課程。

講義概要

気候変動やプラスチック汚染など世界規模の課題への対策は、国際的枠組みや政策、大企業の方針転換等により一定効果を上げることはもちろんですが、それら方針を実際に落とし込むには「ローカライズ」が重要です。逆に、一地域の取り組みや中小規模事業者の取り組みであっても、その中から学べることは多く、あるいはそれらの繋がりから大きな制度変革を起こしうる動きを作りだすこともできます。
具体的に地方自治体や地域内組織、ローカルビジネス等と協業し、取り組んでいる「ゼロ・ウェイスト」政策についてお話しします。


第15回

2021年7月16日

モデレータ教員:
谷口(尚)

末貞 操 氏

三島食品株式会社 代表取締役社長 兼 営業本部長

末貞 操 氏

【演題】いつのまにかマーケティングしてたのかな

講師プロフィール

1958年生まれ。広島県出身。1981年三島食品に入社。入社後は工場の品質管理担当の傍ら、生産情報システム(MRP)を独自開発し各工場へ導入、また1997年より「見える化」に取り組み全社で展開している。生産情報システム、見える化、名前立てといった管理の仕組みづくりや工場の合理化に取り組んできたが、2009年に全く経験のない営業の担当になり、生産本部長と営業本部長を7年間兼任。2017年より現職。

講義概要

ふりかけの「ゆかり」は知っているが、三島食品は知らない方が多い中、ここ数年いろいろな形で弊社が話題に取り上げられることが多くなってまいりました。中でも「ゆかり」のペンスタイル、「ゆかり」・「かおり」・「あかり」の゛ふりかけ3姉妹″、「うめこ」、「あおのり」、「ひろし」とテレビCMを一切していないにもかかわらず、TV、ラジオ、新聞、雑誌、ネットニュース等各種のメディア、更にはSNSで取り上げていただいています。特に今年2月に新発売した「ひろし」は予想を大きく超えて爆売れ状態になってしまいました。
今回のお話は、なぜそのような変化が起きたのかという疑問を実際にあったエピソードを通して紹介し、またその後ろにある社風や創意工夫についてお話してみたいと思います。