SDM特別講義 2018年度 春学期
2018年4月7日
(入学合宿)
モデレータ教員:
当麻
西澤 直子 氏
【演題】福澤諭吉と新しい時代
講師プロフィール
1983年慶應義塾大学文学部卒業。1986年慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程を修了。2010年より福澤研究センター教授。福澤研究センター副所長。
研究テーマは主に福澤諭吉の女性論、家族論。著書に『福澤諭吉とフリーラヴ』(慶應義塾大学出版会、2014年)、『福澤諭吉と女性』(慶應義塾大学出版会、2011年)、共著に『近代日本と経済学 慶應義塾の経済学者たち』(慶應義塾大学出版会、2015年)、『講座明治維新9 明治維新と女性』(有志舎、2015年)、『近代日本と福澤諭吉』(慶應義塾大学出版会、2013年)。
講義概要
福澤諭吉が明治維新の激動のなかで何を考え、どのような新しい時代を築きたいと考えていたのか。そしてそのなかで慶應義塾はどのような役割を果たしたのか。蘭学との出会いやその後の彼を決定づけた貴重な海外体験について、ステレオタイプに語られる中津や朝鮮との関係は実際にはいかなるものであったのか、現代でも読まれる『学問のすゝめ』『文明論之概略』『福翁自伝』といった著作を中心に、女性論や人間交際論などを取り上げながら、考えていきたいと思います。
2018年4月13日
(公開講座)
モデレータ教員:
吉田
吉村 俊之 氏
【演題】「不易流行」に基づく、老舗のビジネスモデル
講師プロフィール
1959年(昭和34年)生まれ。1985年(昭和60年)京都大学大学院理学研究科物理学教室修士課程修了。同年(株)日立製作所入社。同社中央研究所にて、半導体集積回路極微細加工プロセス及び先端デバイスの基礎研究、並びに開発に従事。スタンフォード大学ビジネススクール上級管理者課程修了。京都大学工学博士。米国戦略系経営コンサルティング会社を経て、2001年(平成13年)(株)豊島屋本店入社。2006年(平成18年)より現職。2014年11月に、システムデザイン・マネジメント研究科 経営・財務戦略論(吉田篤生特別招聘教授担当)にて講義。現在に至る。
講義概要
慶長元年(1596年)神田鎌倉河岸で創業した、東京最古の酒舗豊島屋本店第16代当主吉村俊之社長の講義から、420年以上の歴史を守り続けている老舗の経営と継続の本質を探ってみる。
「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と詠われた江戸の名物“白酒”をはじめとして、酒造りの伝統を守りながら様々な危機を乗り越え、現在に至っている。明治神宮、神田明神の唯一の御神酒である「金婚」の他、多くの賞を受賞している。企業を取り巻く様々なステークホルダーとの関係を大切に、行動規範の「不易流行」に基づき、「守るべきもの」と「変わるべきもの」のバランスを保ちながら継続してきている。佐伯泰英の「鎌倉河岸捕物控シリーズ」は、NHKでもドラマ化されたが、豊島屋が舞台となっている。本講義では、過去-現在-未来の時間軸の中で、企業が存在し続ける意義について語って頂く。
2018年4月20日
モデレータ教員:
谷口(尚)
山﨑 結子 氏
【演題】外ヶ浜町のまちづくりについて
講師プロフィール
昭和56年6月21日生まれ(36歳)。B型。世田谷区出身、成城大学卒。青森県知事を務めた曽祖父の代から外ヶ浜町とは縁が深い。昨年2月に会社を辞め出馬表明、4月に町長に就任した。職歴はアニメイトグループ、環境省自然環境局野生生物課(非常勤)、オカムラ食品工業、オカムラトレーディングなど。趣味はマンガ・舞台鑑賞・プロレス観戦・ヨガ・旅行等。
講義概要
経済力も労働力も減少傾向にある今の日本で、消滅可能性都市と言われる多くの自治体はこの急激な下降スピードを想定してきておらず、今、岐路に立たされています。
特に地域内のお金の循環を補助金に頼ってきた自治体は、やっと税収減に見合ったサービスの縮小を検討しなければ自治体が破綻しかねないという現実に向き合いだしました。
本講演では、『改善をして現状維持、何もしなければ衰退』と想定される将来に向け、少子高齢化や過疎の先進地である外ヶ浜町での取組みについて、過去の失敗や現状の課題や今後の展望についてなど、実例も挙げながら紹介し、持続可能なまちづくりについて考えます。
2018年4月27日
モデレータ教員:
高野
杉山 大志 氏
【演題】地球温暖化問題とは何か
講師プロフィール
学歴
1991年東京大学 理学部物理学科卒業
1993年東京大学大学院 工学研究科物理工学修士了
職歴
1993年~2017年財団法人 電力中央研究所
1995年~1997年国際応用システム解析研究所(IIASA)研究員
著作物
「地球温暖化とのつきあいかた」(ウェッジ社・2014/09)
「温暖化対策の自主的取り組み」(エネルギーフォーラム社・2013/03)
「環境史から学ぶ地球温暖化」(エネルギーフォーラム社・2012/05)
「失敗した環境援助」 (エネルギーフォーラム社・2011/08)
「気分のエコでは救えない!データから考える地球温暖化」(日刊工業新聞社・2011/02)
「省エネルギー政策論」(エネルギーフォーラム社・2010/11)
「戦後日本の省エネルギー史」(エネルギーフォーラム社・2010/11)
「新・これが正しい温暖化対策」(エネルギーフォーラム社・2010/09)
「続・これが正しい温暖化対策」(エネルギーフォーラム社・2008/06)
「これが正しい温暖化対策」(エネルギーフォーラム社・2007/09)
他 多数
講義概要
地球温暖化問題の科学的知見、環境影響の予測を踏まえ、温暖化対策の在り方を総合的に論じる。
2018年5月11日
(公開講座)
モデレータ教員:
神武
玉塚 元一 氏
【演題】経営者としての挑戦と学びの共有
講師プロフィール
1985年、慶應義塾大学卒業後、旭硝子株式会社入社。工場勤務、海外駐在を経て、日本IBMに転職。1998年、株式会社ファーストリテイリングに入社、2002年に同社代表取締役社長 兼 COOに就任。2005年9月に企業再生・事業の成長を手掛ける企業、株式会社リヴァンプを創業し、代表取締役に就任。その後2010年11月、株式会社ローソンに入社。
同社取締役代表執行役員COO経て、2014年5月より代表取締役社長、2016年6月に代表取締役会長CEO。2017年6月、デジタル製品のテスト及びQAを行う株式会社ハーツユナイテッドグループ代表取締役社長CEOに就任。現在に至る。
ヤマハ発動機株式会社、ラクスル株式会社、AIGジャパン・ホールディングス株式会社の社外取締役も務める。
ケース・ウェスタン・リザーブ大学大学院 MBA取得
サンダーバード大学大学院 国際経営学修士号を取得
講義概要
テクノロジーによる社会、ビジネスへの影響の拡大、そしてそれに伴う変化のスピードが飛躍的に増す中、組織を成功に導くには強いリーダーシップが必要です。
変化が激しく、予測困難な状況の中、経営者として組織を正しい方向に導くためには、経営者としての“技術力”が問われる時代になったと感じています。私は、神武先生との出会いから、SDMの考え方が経営者の持つべき“技術”として非常に価値があると感じております。過去様々な企業の経営に携わり、リーダーとして挑戦を繰り返してきた、経験と学びを、体験談やエピソードとともに振り返り、ビジネスに重要なエッセンス、SDMの考え方との共通点等をお話させて頂きたいと思います。
2018年5月18日
(公開講座)
モデレータ教員:
春山
岡部 憲明 氏
【演題】デザインのプロセスをめぐって ―モデル・シミュレーション・コミュニケーション
講師プロフィール
1947年静岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業。フランス政府給費研修生として渡仏後、レンゾ・ピアノと20年間にわたり協働、ポンピドゥー・センター、IRCAM音響音楽研究所の設計に従事。1995年に岡部憲明アーキテクチャーネットワークを設立。神戸芸術工科大学教授(1996‐2016)。代表作に関西国際空港旅客ターミナルビル、牛深ハイヤ大橋、小田急ロマンスカーVSE、MSE、GSE、箱根登山電車アレグラ号、大山ケーブルカー、在東京ベルギー大使館など。著作に『エッフェル塔のかけら』『空間の旅』『関西国際空港旅客ターミナルビル(監修)』など。
講義概要
新たな形態と空間のデザインを生み出すプロセスの中では多様な試行が繰り返される。デザイン決定の選択を導くパラメーターとして、モデル(多様な模型)、シミュレーション(可視化の方法など)、コミュニケーション(組織のシステム、チームワーク)が重要となる。プロジェクトの経験を通して、ヒューマニティを目標としたデザインのプロセスの意味を探る。
2018年5月25日
モデレータ教員:
谷口(尚)
村上 由美子 氏
【演題】「世界経済のメガトレンドと日本」
講師プロフィール
上智大学外国語学部卒、スタンフォード大学院修士課程(MA)、ハーバード大学院経営修士課程(MBA)修了。その後約20年にわたり主にニューヨークで投資銀行業務に就く。ゴールドマン・サックス及びクレディ・スイスのマネージング・ディレクターを経て、2013年にOECD東京センター所長に就任。OECDの日本およびアジア地域における活動の管理、責任者。政府、民間企業、研究機関及びメディアなどに対し、OECDの調査や研究、及び経済政策提言を行う。ビジネススクール入学前は国連開発計画や国連平和維持軍での職務経験も持つ。ハーバード・ビジネススクールの日本アドバイザリーボードメンバーを務めるほか、外務省、内閣府、経済産業省はじめ、政府の委員会で委員を歴任している。著書に「武器としての人口減社会」がある。
講義概要
OECDでは、国際比較可能な統計を集計、分析し、より良い政策の構築に貢献しています。日本が抱える様々な課題を、国際比較という観点から考えることによって解決へのヒントが得られることもあります。たとえば、少子高齢化、低い労働生産性、そしてデジタル経済への移行などの問題を、国際統計を用いながらグローバルな視点で考えてみたいと思います。そして、今後更にイノベーションが求められる社会で活躍する学生の皆さんに参考になるように、イノベーションを創出するための条件についても議論したいと思います。
2018年6月1日
(公開講座)
モデレータ教員:
前野
茂木 健一郎 氏
【演題】脳科学から見た人工知能のシンギュラリティ
■時間:19:00-20:30(6時限)
講師プロフィール
脳科学者、作家、ブロードキャスターとして活動。
講義概要
脳科学から見た人工知能のシンギュラリティについて概観する。ボストロムらが議論している存在論的危機や、人工意識、評価関数の問題、身体性のこと、ポストヒューマニズムなどについて論じる。
2018年6月8日
モデレータ教員:
白坂
長島 聡 氏
【演題】和ノベーション ~日本企業の創造生産性を高める取り組み~
■時間:19:00-20:30(6時限)
講師プロフィール
早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、ローランド・ベルガーに参画。
自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くの プロジェクトを手がける。特に、近年はお客様起点の価値創出に注目して、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に従事。
以下の企業のアドバイザーを務める。
アスタミューゼ株式会社、株式会社エクサウィザーズ、株式会社エクシヴィ、株式会社カイゼン・マイスター、株式会社カブク、株式会社ドリーム・アーツ、株式会社GK京都、ベッコフオートメーション株式会社、リンカーズ株式会社、由紀ホールディングス株式会社
自動車産業、インダストリー4.0/IoTをテーマとした講演・寄稿多数。近著に「AI現場力」(日本経済新聞出版社)、「日本型インダストリー4.0」(日本経済新聞出版社)。
講義概要
日本企業は技術を突き詰める力が極めて高い。顧客を慮る力も超一流である。ただ、この2つはバラバラに存在していて、なかなか1つにならない。すぐに「製造と販売」、「材料と組立」という上流と下流工程に分かれてしまう。もし、垣根が取り払われ、異質と感じていたもの同士が交わり、顧客起点で団結すれば、間違いなくイノベーションが生み出せる。それにはまず、それぞれの能力を「使う側の表現」で見える化し、それを流通させる、そして社内に留まらず、社外にまでその輪を広げていくことが必要だ。ただ、何より重要なのは、ありたい姿の構想を顧客起点で考え抜くことだ。それを携えて、異質な交わりの中で対話を始めていく。対話の中で、構想をブラッシュアップしながら、みんなの実現したい構想へと高めていけばよい。この段階になると機能の組合せが明確になり、役割分担の下、日本が得意な現場での創意工夫を始められる。本講義では、ローランド・ベルガーの仲間企業を紹介すると共に、「先読み/構想」、「引き寄せ」、「構え」という3つのフレームワークを使いながら、日本型のイノベーション量産の取り組み、和ノベーションを紹介する。
2018年6月15日
モデレータ教員:
当麻
阪根 信一氏
【演題】「世の中にないモノを創る技術集団」セブンドリーマーズの挑戦
■時間:19:00-20:30(6時限)
講師プロフィール
理学博士。1999年、アメリカ・デラウエア大学 化学・生物化学科 博士課程修了(Ph.D.)、Glenn Skinner Award 学部最優秀賞受賞。 卒業後は株式会社I.S.T取締役、CEOを経て、2008年、スーパーレジン工業株式会社社長に就任。2010年、株式会社I.S.TのCEOを退任し、2011年、seven dreamers laboratories, inc. を立ち上げ、President & CEOに就任、2014年より現職。
講義概要
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズは、完全オーダーメイドのカーボン製ゴルフシャフト、睡眠時の気道を確保する医療デバイス「ナステント」を生み出し、来春には画像解析・AI・ロボティクスの融合技術による世界初の全自動衣類折りたたみロボット『ランドロイド』を発売予定です。“世の中にないモノを創る技術集団”として、分野にこだわらずに人々のニーズから発想し商品開発に挑戦する、同社の新製品開発のイノベーションマインド、開発段階で遭遇する困難、想像を超える商品やサービスを展開する取組みについてお話します。
2018年6月22日
(公開講座)
モデレータ教員:
中野
Professor of Aeronautics and Astronautics and Engineering Systems, MIT
Fellow INCOSE and CESAM, Associate Fellow AIAA
Editor-in-Chief, Systems Engineering
Olivier L. de Weck 氏
【演題】Keio SDM 2008-2028: Quo Vadis?
■時間:19:00-20:30(6時限)
講義概要
Starting in 2004 I had the privilege of beginning discussions about the creation of the new Keio University System Design and Management (SDM) program with Prof. Yoshiaki Ohkami, Prof. Kos Ishii and a growing network of colleagues in Japan and around the world. This became a reality in 2008 with the 150th Anniversary of the university and the formal launch of Keio SDM. I have been deeply honored to contribute to the program with some strategic ideas, advising and hosting of students as well as all co-teaching the Active Learning Project Sequence (ALPS) from 2008 to 2013 [1]. In this lecture I will share my recollections about the creation story of Keio SDM, some of the highlights during the last 10 years from my perspective and also give my view of what are the critical research topics and educational thrusts needed in the next 10 years. These include deeper and more participatory modeling of socio-technical systems through online crowdsourcing, agent-based-modeling, multi-dimensional modeling and simulation, gaming methods and also the use of distributed sensor networks on Earth and in Space. The need to co-design technology, systems and regulations at the societal level will be paramount for Japan to continue to thrive in a world of aging population, economic hyper-competition, volatile international relations and increasing evidence of potentially cataclysmic changes in the Earth’s climate. I am optimistic that Keio SDM will be able to tackle these changes, but this is not time to rest on the successes of the last 10 years, but to look to the future with renewed energy, focus and confidence.
Reference [1] - Haruyama S., Kim S.K., Beiter K.A., Dijkema G.P.J, de Weck O.L., “A new project-based curriculum of design thinking with systems engineering techniques”, International Journal of Systems of Systems Engineering, 4(2), 162-173, 2013
2018年6月29日
モデレータ教員:
白坂
デジタルファクトリー/プロセス&ドライブ事業本部 事業本部長
島田 太郎 氏
【演題】Industrie 4.0 におけるシステムアプローチ
■時間:19:00-20:30(6時限)
講師プロフィール
1990年、新明和工業に入社し、航空機設計に約10年間従事。
「Boeing 777」「Boeing 717」「Gulf Stream GV」「海上自衛隊 US-2」の構造・空力設計や試験、設計統括を担当。
その後、I-DEASの開発元・旧SDRC社(現在はシーメンスPLMソフトウェアと統合)に入社し、マーケティングやコンサルティング、セールスに携わる。2010年4月よりシーメンスPLMソフトウェア日本法人の代表取締役社長兼米国本社副社長に就任。
2014年よりドイツ・シーメンスのセールス・ビジネスデベロップメント部門勤務の後、2015年9月より現職。
講義概要
Industire4.0は、製造業の世界全体をシステム的にとらえる事により、標準化とモジュラー化すすめ、 イノベーションの量産と、マスカスタマイゼーションを、安価に、ハードウェアとソフト両面で実現しようとしている。その為に、Industire4.0では、最初にReference Architecture Model Industire4.0というものを確立した。 これは、製造業で行われる作業を、プロセス、ハード、アーキテクチャー(ハードとソフトを含む)の3つの軸で表現することにより、製造業の世界をシステム的に捉える事を提案した。これは、システムエンジニアリングの世界では、いわばプラントモデルのようなものである。プラントモデルには、コントロールモデルが当然必要であり、それがバリューチェーンのチャートの上に9つの新たなビジネスモデルを変化させる領域として定義されている。 このように説明すると、Industire4.0が如何にシステムアプローチを中心に組み立てられているかが理解できる。 そして、これは典型的なシステムオブシステムとなり、クローズなシステムとの大きな違いとしてセキュリティへの対処が、クローズシステムと違って来る。その為には、セキュリティも多重に防御しないといけない。Indusitre4.0のシステムアプローチについて、具体例を上げながら説明をする。
2018年7月6日
(公開講座)
モデレータ教員:
当麻
SDM研究所 顧問(前 SDM特別招聘教授)
吉田 篤生 氏
【演題】経営・財務のストーリー性とシステムデザイン
-企業経営の本質と継続の条件-
■時間:19:00-20:30(6時限)
講師プロフィール
1947年10月神奈川県生まれ。1970年3月慶應義塾大学商学部卒。大学在学中に2ヶ月半にわたり、単身でロシアから欧州、中近東15ヶ国を周った経験から、商社へ入社予定だったが、目標としていた経営者への近道として税理士を目指す。1974年税理士登録。1975年吉田篤生会計事務所設立、所長就任。税理士としての専門分野は事務所経営のベースにすぎないという考えに基づき、経営コンサルティング、事業再生、事業承継等、企業を取りまく様々な問題に対し常に経営者に寄り添い、その解決に取り組んできた。顧客との対話を重視するため拡大戦略はとらずに、現在330社のクライアントに対してきめ細かなサービスを提供している。 2011年4月よりSDM特別招聘教授として7年間、「経営・財務戦略論」を担当。2018年4月よりSDM研究所顧問就任。
講義概要
現在世界が置かれている状況は、500年前の大航海時代にも似た大転換期を迎えています。産業革命によってもたらされた技術革新と産業化の急速な進歩は、金融技術の革新によって本来の資本主義から逸脱し、果てしない欲望の拡大という社会問題を引き起こしています。 経済とは、常に相互に作用する人間と社会組織から成り立っている生きたシステムであり、お金を生産や流通プロセスを測る唯一の変数として用いるのではなく、自然界のデザインである流動性に目を向けるべきだと考えます。 経営も財務も全て人が中心となって動いており、そこには人間と人間が織りなす様々なストーリーがあります。経営の目的を拡大再生産と利益追求に置く伝統的マネージメントは、一人ひとりの個を大切にする「調和と協調」を目指す新しい社会においては通用しなくなってきます。こうした時代における「企業経営の本質と継続の条件」を探ってみたいと思います。
2018年7月13日
(公開講座)
モデレータ教員:
前野
島田 由香 氏
【演題】 真の働き方改革とは
-新しい働き方 WAAからの考察-
■時間:19:00-20:30(6時限)
講師プロフィール
1996年慶應義塾大学卒業後、株式会社パソナ入社。2002年米国ニューヨーク州コロンビア大学大学院にて組織心理学修士取得、
日本GEにて人事マネジャーを経験。2008年ユニリーバ入社後、R&D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ
開発マネジャー、HRダイレクターを経て2013年4月取締役人事本部長就任。その後2014年4月取締役人事総務本部長就任、現在に至る。
学生時代からモチベーションに関心を持ち、キャリアは一貫して人・組織にかかわる。中学3年生の息子を持つ一児の母親。
米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLP®トレーナー。
講義概要
聞かない日がない働き方改革。その本来の目的ではなく手段についての議論をするからなかなか現状を変えられていない会社が目につく。状況を変えたい問題がそこにある時、何をどうすれば解決に結びつくのか。
ユニリーバ ・ジャパンで2016年7月に導入した新しい働き方WAA(Work from Anywhere and Anytime)は、社員の68%が生活が良くなったと感じ、生産性30%upという効果をもたらした。成功の背景にあった5つのポイントから真の働き方改革について、目的の大切さについて考える。
2018年7月20日
モデレータ教員:
当麻
林 美香子氏
【演題】農都共生(農村と都市の共生)による地域づくり
■時間:19:00-20:30(6時限)
講師プロフィール
札幌生まれ。北海道大学農学部卒業後、札幌テレビ放送株式会社にアナウンサーとして入社。退社後、フリーに。現在は、エフエム北海道「ミカコマガジン」出演の他、執筆活動も。「食」「農業」「環境」「地域づくり」などのフォーラムにパネリスト・コーディネーターとしても参加。「農村と都市の共生による地域再生」の研究で北海道大学大学院にて、博士(工学)・Ph.Dを取得。2008年4月から慶應義塾大学大学院SDM研究科特任教授。北海道大学大学院農学研究院客員教授。著書に「農村へ出かけよう」(寿郎社)など多数。札幌在住。
講義概要
農村と都市の地域政策を個別に考えることが多かった日本だが、地域再生のためには、農村と都市をトータルに捉える「農都共生=農村と都市の共生」が大切と考えている。都会の人が、農家民宿・農家レストラン・農業体験などで、農業・農村の持つ癒しなどの多面的機能を楽しみ、農家が都会で直売所を運営するなどの活動を通して、交流や連携を重ね、農村と都市の相互理解を深めていくことが、農都共生の推進に繋がり、農村と都市双方の地域づくりに力を発揮する。
疲弊する地方に経済が循環する仕組みのひとつとして、グリーンツーリズム(農村地帯で過ごす休暇)など農都共生の活動をすすめたい。「経済の循環」と同時に、「情報の循環」、「人材の循環」が起こり、農村・都市の双方に活力をもたらし、地方創生や地域の持続可能性に大きな力となる。