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SDM特別講義 2013年度 春学期

講義日程 講師・演題
第1回
2013年4月13日

モデレータ教員:
前野
慶應義塾福沢研究センター 准教授
都倉 武之 氏
【演題】福澤諭吉の服装から日本の近代を考える
■会場:入学合宿会場

講師プロフィール

2007年慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程満期単位取得退学。
2004年武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部助手を経て、07年慶應義塾福沢研究センター専任講師。
11年より現職。
専門は、近代日本政治史・政治思想史。
共編に『慶應義塾史事典』(2008年)、『福澤諭吉事典』(2010年)、共著『近代日本メディア人物誌』(ミネルヴァ書房、2009年)など。

講義概要

慶應義塾の創立者である福澤については、思想史上の難解な議論が様々に行われますが、実際の福澤はどのような人物で、何をしようとしていたのでしょうか。
そのことを考える上で、福澤の「服装」に着目してみたいと思います。その特徴的な服装は、実は彼の思想の本質と密接に関係していると私は考えています。服装に対する福澤のこだわりの理由を考えると、彼が日本の社会の欠点と考え、変えようとしていたことが見えてくるのです。
第2回
2013年4月19日

モデレータ教員:

キャスター / 慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科特任教授 / 北海道大学大学院農学院客員教授
林 美香子
【演題】「農都共生のススメ」
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

札幌生まれ。北海道大学農学部卒業後、札幌テレビ放送株式会社にアナウンサーとして入社。退社後、フリーに。現在は、エフエム北海道「ミカコマガジン」出演の他、執筆活動も。「食」「農業」「環境」「地域づくり」などのフォーラムにパネリスト・コーディネーターとしても参加。「農村と都市の共生による地域再生」の研究で北海道大学大学院にて、博士(工学)・Ph.Dを取得。2008年4月から慶應義塾大学大学院SDM研究科特任教授。著書に「農村へ出かけよう」(寿郎社)など多数。札幌在住。

講義概要

地域再生が急務と言われる現代の日本。地域再生を実現するひとつの方策として、「農都共生=農村と都市の共生」を紹介する。国内、海外の先進的事例のほか、農都共生ラボやアグリゼミの活動などについても紹介する。
第3回
2013年4月26日

モデレータ教員:
白坂

株式会社ビービット 代表取締役
遠藤 直紀 氏
【演題】ユーザー中心設計手法とユーザビリティ入門
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1974年、鳥取県生まれ。横浜国立大学経営学部卒。アメリカへの語学留学を経験した後、新卒でソフトウエア開発会社に就職。1年半後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に転職する。技術グループに配属となり、通信会社のインターネット活用戦略プロジェクトなどに参加。
2000年3月、元アンダーセンコンサルティングのメンバーを中心にビービットを設立。ユーザビリティに特化したコンサルティングサービスを提供している。現在は、顧客志向社会の実現へ向けて新サービスの開発を手がける。著書に『ユーザ中心ウェブサイト戦略』『ウェブ・ユーザビリティルールブック』(共著)など。

講義概要

ユーザーの視点を開発プロセスに組み込むことで、価値のある製品・サービスの開発が可能となります。
ユーザーの視点を知る方法の一つに行動観察調査があります。
株式会社ビービットでは、創業以来、述べ1万人以上のユーザーに対し、行動観察調査を行って来ました。本講義では、ウェブサイトにおけるその実践手法について、実例をまじえながら解説します。
第4回
2013年5月10日

モデレータ教員:
前野
Ziba Director of Strategy
濱口 秀司 氏
【演題】ビジネスのデザイン
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

京都大学卒業後、松下電工に入社。研究開発に従事した後、松下グループ初の戦略投資案件の意思決定分析担当となる。1994年、日本で初めてイントラネットを高須賀宣(サイボウズ創業者)とともに考案・構築。1998年米国のデザイン・イノベーションのコンサルティング会社Zibaに参画。世界初のUSBフラッシュメモリをはじめとする数々のコンセプトづくりをリード。IDEA金賞など数々のデザイン賞を受賞。その後、松下電工(株)新事業企画部長、パナソニック電工米国研究所(株)上席副社長、米国ソフトウエアベンチャーのCOOを歴任。2009年Zibaにリジョイン。コンセプト立案、戦略構築について独自の理論と方法論を持ち、数多くのクライアントのイノベーションに関わっている。ドイツRedDotデザイン賞審査委員。

(参考)
Zibaは、米国オレゴン州ポートランドに本拠を置く世界的に有名なデザイン・イノベーションのコンサルティング会社。 顧客エクスペリエンスへのフォーカスとデザインをビジネスに生かす方法論でクライアントに成功をもたらしている。 ナイキ、P&G、FedEx、ジョンソン&ジョンソン、ネスレ、サムソン、シティ、インテル、Citiなど幅広い分野のクライアントを持つ。
Zibaウェブサイト

講義概要

ビジネスのデザインに関する5W1Hを話します。
第5回
2013年5月17日

モデレータ教員:
白坂
株式会社日立製作所  主管技師長
市川 芳明 氏
【演題】国際標準におけるリーダーシップについて
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1979年東京大学工学部機械工学科卒業。入社後,原子力の保全技術及びロボティクス分野の研究に従事。1995年より環境保全分野のソリューションビジネスを立ち上げる。2000年初代の環境ソリューションセンタ長を経て現職。東京都市大学非常勤講師。IEC(国際電気標準会議)TC111(環境標準)議長、ISO TC 268/SC1(スマート地域インフラ標準)議長、ISO TC207エキスパート、CENELEC(欧州電気標準委員会)オブザーバー、工学博士、技術士(情報工学)。 著書に『環境適合設計の実際』(オーム社)、『新たな規制をビジネスチャンスに変える環境経営戦略』(中央法規出版)、『EuP指令とエコデザインマネジメント入門』(産業環境管理協会)、『REACH対応実務の手引き』(中央法規出版)ほか多数

講義概要

講演者のIECやISOにおける議長経験や日本チームをサポートした経験を元に,国際標準におけるリーダシップの取り方を論じるが,それ以前に,国際標準がなぜ重要なのかをグローバルなビジネス展開における企業の戦略として明確化する。
第6回
2013年5月24日

モデレータ教員:
日比谷
ジャーナリスト
斉藤 道雄 氏
【演題】消えない声 ~マイノリティの辺縁から~
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1947年生まれ。慶應義塾大学工学部機械工学科卒。TBS報道局の記者、ディレクター、プロデューサーとして先端医療、マイノリティ、精神障害などを主なテーマにニュース企画やドキュメンタリーを制作してきた。2008年から私立ろう学校、明晴学園校長、2013年からは同校理事長。ドキュメンタリー「精神障害者」で1999年度ギャラクシー賞奨励賞、著作『悩む力』(みすず書房、2002年)で第24回講談社ノンフィクション賞、科学リテラシーを生かしたろう教育への貢献で2012年度慶應義塾大学理工学部「矢上賞」受賞。

講義概要

障害者を中心とする社会的マイノリティのあいだで、近年当事者研究という動きが広がっている。2000年に北海道浦河町の精神障害者グループ「べてるの家」ではじまった当事者研究は、障害の当事者が自分自身の困難を「主張」したり「治療」したりするだけでなく、「研究」するという刺激的なアプローチだ。当事者研究は従来の学知を包含しつつ、当事者が自身の経験と語りを現象学的に分析し、マイノリティの世界からマジョリティを照射する新しい地平を拓いている。
第7回
2013年5月31日

モデレータ教員:
前野
元世界銀行副総裁 / シンクタンク・ソフィアバンク パートナー
西水 美恵子 氏
【演題】「本気」で動けば、何だって変えられる
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1970年、米国ボルチモアにある女子大、ガルチャー大学を卒業(経済学専攻)。1975年、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程(経済学)を卒業。同年、プリンストン大学経済学部(ウッドロー・ウイルソン・スクール兼任)助教授に就任。1980年、世界銀行経済開発研究所に入行。諸々のエコノミスト職や管理職を歴任。IBRD(世界銀行グループ・国際復興開発銀行)のリスク管理・金融政策局長などを務めた後、1997年、南アジア地域担当副総裁に就任。2003年、定年を待たずに退職。以来、世界を舞台に様々なアドバイザー活動を続ける。2007年よりシンクタンク・ソフィアバンクのパートナー。
著書に『国をつくるという仕事』(英治出版・2009年)、『あなたの中のリーダーへ』(英治出版・2012年)』などがある。
プロフィール

講義概要

世界銀行組織改革の一環として、組織文化・意識改革を副総裁として先導した西水氏美恵子氏が、改革の原点と背景を語ります。西水氏が手がけた改革は、欧米の著名な経営学専門家に注目されました。貧困のない世界を夢に、ビジョンをもち、情熱を注ぎ、信念を持って行動する「仲間」たちを率いた西水氏の体験は、組織の行動問題やリーダーシップの在り方に関する洞察を与えてくれるはずです。
第8回
2013年6月7日

モデレータ教員:
当麻
九州国際大学 特任教授
岡本 久人 氏
【演題】統合的な「持続可能社会」としてのストック型社会論
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

現所属: 
次世代システム研究所 所長(ストック型社会論)、次世代システム研究会 副会長(ストック型社会論)、九州国際大学 特任教授(ストック型社会論/環境科学、地域政策論、環境論研究)、自然環境定量評価研究会 副会長(生物定量調査法、O.R)、環境省 環境カウンセラー(環境総合)、研究・技術計画学会 評議員    
職歴:  
新日鐵 八幡製鐵所 生産技術、IE、OR、経営管理、技術開発、省エネ(BASE法)、社外経営コンサル(含む海外)、海外技術協力、システム開発、人間工学関係、ほか、ローマ事務所 技術系駐在員(1984~1992)
三井ハイテック(出向) 海外管理部長、北京事務所長、μBGA製造部長
(株)九州テクノリサーチ 地球環境プロジェクト部長 
(学)九州国際大学 次世代システム研究所 所長、(学)九州国際大学 客員教授
内閣官房 環境モデル都市低炭素社会づくり委員会 委員(平成21年11月まで)
文部科学省 産学官連携コーディネーター (平成22年3月まで)
国土交通省 社会資本整備審議会臨時委員 (平成23年6月まで)
(財)日本野鳥の会 評議員(1990~2003)
(NPO)バードライフ・アジア 理事 (平成23年3月まで)
著書:
45分で分かる未来へのシナリオ「ストック型社会」、ゆとりある国・日本のつくり方 -ストック型社会転換マニュアル-」、「ストック型社会への転換 ~長寿命化時代のインフラづくり」、「ストック型社会 ~あなたの未来を豊かにする日本の変え方~」、「大画面VDT導入ガイドブック」(共著/主筆)、「從生態經濟學看日本的再生」(中国語)、「生態系が語る日本再生」/ECO-ECO Economy as Ecology、「野鳥調査マニュアル」/定量調査の考え方と進め方

講義概要

「持続可能な社会」の解釈は、地球環境・資源・経済・生活・人口・自然災害・文化・文明・地域社会、等々、その切り口(専門分野)によって提起される課題や対応は様々である。だが仮に個々の切り口への対策(部分最適解)を講じたとしても、他の切り口の解決にもなる全体最適が得られる保証はない。逆に結果が、別の切り口の「傷口」を大きくする社会矛盾をしばしば生んできた。戦後の我国は、心がけや気持ちを伝える習慣は在っても、それらを統合的に解決する論理的な政策展開は不得手だ。一方で急速な科学技術文明の進展による、社会変化・多様化に適応できなくなった社会矛盾も出てきた。
 「ストック型社会」とは、価値あるものを造って大切に長く使う社会である。とりわけ資源量が大きな住宅や各種社会インフラ等を何世代も使えるようにすれば、世代を超えた資産蓄積で続く世代の豊かな生活や安定した経済構造をえることができる。これは同時に、世代を超えた資源蓄積を意味し、資源浪費を回避し地球環境保全ひいては国や地域の資源自律も目指せる。世界人口が激増する中で少子高齢化・人口減少に向かう我国では、焦眉の急を要するテーマだと考えられてきた。   
 ストック型社会論は、多岐にわたる専門分野の人々により理論形成されてきた「持続可能な社会」の全体最適(全ての切り口の総合解)の考え方だ。社会の「診断」をして問題提起(考え方の提示)をしても、具体的な「処方箋」(政策など)が示されていない警鐘は無意味だ。その意味で、「ストック型社会論」は、これまでに「超長期優良(200年)住宅普及促進法」(部分解)しか具現化できていない。だが予測される近未来の劇的変化に向け、「住宅」だけではなく「地域社会」ひいては今後の日本全体を「持続可能な社会」に転換する道筋を考える必要がある。かつて一国の宰相(福田康夫首相)が提言されたこの政策の有効時期が、現代社会の趨勢から観て迫りつつある今、激動の時代を生きる若い世代の人々に、その「考え方」と「実現可能なシナリオ」等の要約を講義したい。 

【キーワード】地球・社会・個人、部分最適型社会、世界・日本の人口動態予測、2050年、Wide-range Long-term/正義のサイズ、資源・エネルギーマクロ収支、バックキャスティング政策、アロケーション(防災の選択肢)、スケルトン&バッファー(不易資産と可変資産)、金融資産と実物資産、地域政策シミュレータ、日本人の夢・希望の具体像、政策の5W1H、IGC (International Generation Cabinet)

【Web】ストック型社会論、次世代システム研究会(URL:www.foss-stock.org/)、岡本久人、超長期優良住宅普及
促進法


第9回
2013年6月14日

モデレータ教員:
神武
イーソリューションズ株式会社 代表取締役社長
佐々木 経世 氏
【演題】世界の最重要国家戦略である「スマートシティ」~日本が世界で勝ち抜くためには~
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1957年、富山県生まれ。慶應義塾大学大学院計測工学修士課程修了。
日本鋼管(現JFEスチール)を経てマサチューセッツ工科大学でMBA取得。
ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現ブーズ・アンド・カンパニー)、ソフトバンクを経て、1999年にイーソリューションズを設立し代表取締役社長に就任。
その他、NCメディカルリサーチ株式会社代表取締役社長、一般社団法人フューチャーデザインセンターセンター長、スマートシティ企画株式会社代表取締役社長、などを兼任。また、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授、観光産業政策検討会委員も務める。

講義概要

「人口増加」、「都市化」、「中流化によるエネルギー消費の増加」を背景に爆発的なエネルギー消費増加に対する解決策としてスマートシティが大きな注目を集めている。スマートシティ市場は今後20年間で4,000兆円規模と巨大であり、各国の最優先国家戦略となっている。
日本企業は特許出願数などから見て環境技術に関しては世界で優位な位置にあるが、世界中でスマートシティを建設するプロジェクトが始まっている中、いまだ実証実験の段階にとどまっている。技術の優位を生かして主導権を握り、世界のスマートシティビジネスを戦い抜くには、企業連携による全体最適の手法が不可欠である。既存のアプローチ方法等の課題を整理し、全体最適による「社会システム化」した日本の標準モデル構築に向けた取り組みについて紹介する。
第10回
2013年6月21日

モデレータ教員:

作家
高嶋 哲夫 氏
【演題】僕が原発を捨てきれない理由
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1949年7月7日、岡山県玉野市生まれ。
慶應義塾大学工学部卒。同大学院修士課程を経て、日本原子力研究所研究員となる。1979年、日本原子力学会技術賞受賞。その後カリフォルニア大学に留学。
帰国後、作家に転身。『帰国』で第24回北日本文学賞、『メルトダウン』で第1回小説現代推理新人賞、『イントゥルーダー』で第16回サントリーミステリー大賞の大賞・読者賞をダブル受賞。2007年、松竹映画、米ユニバーサルピクチャーズの初共同制作として『ミッドナイトイーグル』が映画化され、日米同時公開。
2010年、『風をつかまえて』が第56回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書(高等学校の部)に選定。
神戸で自身も阪神・淡路大震災に被災して以降、『M8』『TSUNAMI』『東京大洪水』『巨大地震の日』『震災キャラバン』(全て集英社)、『アニマート』(漫画原作。週刊ヤングジャンプにて連載)、『巨大地震の後に襲ってきたこと』(宝島社)など、様々な形を通して防災に関する啓蒙も行っている。
最近刊は『サザンクロスの翼』(文藝春秋)、『首都感染』(講談社)、『タナボタ!』(幻冬舎)など。

講義概要

2年前の東日本大震災は地震と津波による災害と共に、もう一つの大きな災害をもたらした。
福島第1原子力発電所の原子力事故である。この事故は近隣の市町村に放射能汚染をもたらし、多くの住人が2年経った現在もわが家に帰れないという悲劇をもたらしている。
そして、廃炉に用する年月は40年ともいわれている。さらに、日本のみならず、世界のエネルギーの未来に対しても大きな影響を与えた。
そして今、日本では原発依存度を減らしていこうという意見が大半である。省エネ、節電、自然エネルギーの利用を伸ばせば原発ゼロでも大丈夫、というわけだ。また、「高レベル放射性廃棄物処分」の問題もある。
それにもかかわらず、僕は「原発は捨て去る技術ではない」と信じている。その理由をみなさんと共に考えたいと思う。
第11回
2013年6月28日

モデレータ教員:
春山
上智大学総合人間科学部心理学科 教授
黒川 由紀子 氏
【演題】認知症と回想法
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

東京大学教育学部教育心理学科卒、上智大学大学院博士課程満期退学
保健学博士(東京大学医学部)、臨床心理士
神経研究所附属晴和病院非常勤、東京大学医学部精神医学教室、大正大学等を経て
現在、上智大学・同大学院教授(心理学科・心理学専攻)
慶成会老年学研究所・所長 
高齢者認知症・研究研修東京センター上級客員研究員 他

講義概要

人類が初めて経験する超高齢社会になり、認知症の高齢者が増加している。記憶障害があっても、なお残る貴重な記憶を受けとり、認知症の人が生きてきた歴史を尊重しようとする回想法を紹介する。
第12回
2013年7月5日

モデレータ教員:
神武
慶應義塾大学環境情報学部 学部長・教授
村井 純 氏
【演題】インターネット戦略2013
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1984年慶應義塾大学大学院工学研究科後期博士課程修了。
1984年東京工業大学総合情報処理センター助手、1987年東京大学大型計算機センター助手。
1990年慶應義塾大学環境情報学部助教授を経て1997年より同教授。
1999-2005年慶應義塾大学SFC研究所所長、2005-2009年学校法人慶應義塾 常任理事、2009年より環境情報学部長。
1984年国内のインターネットの祖となった日本の大学間ネットワーク「JUNET」を設立。1988年インターネットに関する研究プロジェクト「WIDEプロジェクト」を設立し、2010年3月までその代表として、現在はファウンダーとして指導にあたっている。内閣 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)有識者本部員、内閣官房情報セキュリティセンター情報セキュリティ政策会議 委員、社団法人情報処理学会フェロー、日本学術会議第20期会員。その他、各省庁委員会の主査や委員などを多数務め、元ICANN理事、元ISOC(Internet Society)理事、元IAB(Internet Architecture Board)メンバーなど国際学会でも活躍する。

主な受賞歴
2005年Internet SocietyよりJonathan B.Postel Service Award
2007年社団法人情報処理学会 第6回情報科学技術フォーラム(FIT2007)船井業績賞
2011年IEEE Internet Award
2011年度大川賞受賞

著書「インターネット」、「インターネットII」、「インターネット新世代」(岩波書店)、 「インターネットの不思議、探検隊!」(太郎次郎社エディタス)、 「日本でインターネットはどのように創られたのか?」WIDEプロジェクト編著(インプレスR&D) 
監訳「インターネットシステムハンドブック」(インプレスジャパン)、「IPv6:次世代インターネットプロトコル」(プレンティスホール) 「アンワイアード 果てしなきインターネットの未来―4Gへのシナリオ」(インプレスR&D)他多数。

講義概要

1969年に誕生したとされるインターネットは、その誕生から40余年が経過し、全く新しい環境の基盤を担うことになった。デジタルテクノロジーの基盤としてのグローバル分散システムそのものがインターネットであるという意味では、地球規模の分散情報システムが今のインターネットである。一方、人口80億人時代に「インターネットへのアクセスが人間の権利である」という国連などでの議論を真に受ければ、健康や食、健全な自然環境と同じ社会的使命を担う環境であるとも考えられる。セキュリティを対象にすると世界の政策は「サイバー空間」という言葉を使い始めている。この80年代生まれの表現は、正確な位置と時空間の物理空間と完全に連結されたデジタル実空間を示し始めているといえる。このような背景で、インターネットは、メディアは、インフラストラクチャは、ライフスタイルはどのように変わり、そのためにどんな戦略を創るべきかを議論する。
第13回
2013年7月8日

モデレータ教員:
当麻
独立行政法人日本学術振興会 理事長
安西 祐一郎 氏
【演題】システム工学の研究者がいかにして認知科学者になったか
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1974年慶應義塾大学大学院工学研究科博士課程修了。カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学科兼心理学科博士研究員、同人文社会学部心理学科客員助教授、北海道大学文学部行動科学科助教授、慶應義塾大学理工学部電気工学科教授を経て、93~2001年同大学理工学部長、01~09年慶應義塾長。2011年独立行政法人日本学術振興会理事長に就任、現在に至る。文部科学省中央教育審議会大学分科会長、同科学技術・学術審議会委員、全国大学体育連合会長等を務める。日本私立大学連盟会長、環太平洋大学協会会長、情報処理学会会長、日本認知科学会会長、内閣府知的財産戦略本部員、同IT戦略本部員、同教育再生懇談会座長等を歴任。著書『心と脳』(岩波新書)、『「デジタル脳」が日本を救う』(講談社)、『教育が日本をひらく』(慶應義塾大学出版会)、『認識と学習』(岩波書店)、『問題解決の心理学』(中公新書)、共編著『講座 認知科学』全9巻(岩波書店)ほか多数。専攻は認知科学・情報科学。1970年代当初からシステム理論を学び、70年代半ばに人間の思考と学習に関する研究を開始、現在に至る。その一方で、自然言語対話を含むヒューマン・マシンインタラクション、人間とロボットのインタラクション、センサ・ネットワーク等の研究を行ってきた。

講義概要

演者は、大学院修士・博士課程でシステム工学を学んで博士号を取得し、さらに約10年にわたりシステム工学を教えた。その一方で、並行して心理学と神経科学を学び、その後システム工学自体からは離れて認知科学への道を歩むようになった。さらには、年月を経てシステムデザイン・マネジメント研究科の創設にも関与することになった。認知科学とは、「心のはたらきに関わる現象を、伝統的な学問分野や文系理系医系の区分にとらわれず、「情報」の概念をもとにして理解しようとする知的営み」(『心と脳』岩波新書より)である。システムデザイン・マネジメント研究科が対象とするシステムのデザインとマネジメントは人間の心のはたらきをもとにした活動にほかならず、しかも心は(コンピュータやロボットのような機械とは異なる)システムにほかならない。本講義では、演者が大学院修士課程当時から今日まで歩んできたシステム工学と認知科学の探究への道を紹介することを通して、人間活動としてのシステムのデザインとマネジメントの基本的な考え方について述べることにしたい。
第14回
2013年7月12日

モデレータ教員:
西村
中部大学人文学部 教授/慶應義塾大学 名誉教授
前田 富士男 氏
【演題】造形芸術にみる創発的オーダー――色彩表現あるいは建築空間
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1966年に慶應義塾大学工学部管理工学科卒業後、同大学文学部美学美術史学専攻に学士入学し、同大学院を修了。神奈川県立近代美術館学芸課、ドイツ・ボン大学美術史研究所(DAAD留学生)、北里大学教養部講師をへて、1985年に慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻助教授就任。慶應義塾大学アート・センター所長、日本学術会議第一部会員ほかを兼務。2009年3月、同退職。2010年中部大学人文学部教授に就任。文科省独立行政法人評価委員会委員(国立美術館部会長)、大学評価・学位授与機構運営委員、宇宙航空研究開発機構(JAXA)有人宇宙環境利用ミッション本部ミッション選定委員会委員、アート・ドキュメンテーション学会会長、ほか。著書:『パウル・クレー――造形の宇宙』慶應義塾大学出版会、2012年。『東西文化の磁場』(共著)国書刊行会、2013年。『色彩からみる近代美術――ゲーテより現代へ』(監修)三元社、2013年。

講義概要

芸術作品は、それを構成する部分からなる一つの有機的な全体にほかならない。とりわけ造形芸術=美術の作品、つまり、絵画・彫刻・工芸・画像・環境デザイン・建築の作品は、顔料や布、石、金属、木材などの無機的非生命的な物質からなる全体である。では、いったい「生き生きした作品」とは何か。部分と全体とは、それでは「システム」という概念で把握できるのだろうか。そうではないだろう。ここではむしろ、「オーダー」という概念が重要になるはずだ。ゲーテの形態学や色彩論、また近代美術作品を手がかりに、想像力や創発性の機制をオーダーの観点から検討してみたい。
第15回
2013年7月19日

モデレータ教員:
当麻
帝京大学医療情報システム研究センター 教授/慶應大学大学院政策メディア研究科 特任教授
澤 智博 氏
【演題】医療情報システムの戦略的デザイン
■会場:日吉キャンパス協生館CDF室(C3S10)
■時間:19:00-20:30(6時限)

講師プロフィール

1993年札幌医科大学卒。2001年マサチューセッツ工科大学大学院理学修士課程修了。麻酔専門医。1996年ハーバード大学マサチューセッツ総合病院麻酔集中治療科レジデント、Harvard-MITバイオメディカルインフォマティクスフェロー等を経て2002年帰国。帝京大学医学部麻酔科学講座講師、准教授等を経て2010年より現職。バイオインフォマティクスから病院情報システム、そして、気象・環境・エネルギーまで広く研究領域としている。

講義概要

電子カルテ等の医療情報システムは、機能のパッケージ化により成熟したものとなってきている。一方、近年のエンタープライズ向けシステムアーキテクチャやそれを反映したミドルウエアの進歩は目覚しく、SOA(Service Oriented Architecture)、BPM(Business Process Management)、BI(Business Intelligence)等の概念は、医療情報システムに十分生かされているとはいえないのが現状である。最新のシステムデザインを導入することにより、診療業務プロセスをリアルタイムに可視化し、全ての医療者に必要な情報を即時に提供し、意思決定を強化することができる。さらに、トランスレーショナルリサーチを視野に入れた情報基盤を構築することで、ヘルスイノベーションを支援し、医療に大きなブレークスルーを与え、新たな価値を生むであろう。