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SDM Voice|中野 冠教授(SDM教員)

多学問分野・多業種の知見や視点を組み合わせ、長期的な課題に取り組んでいる中野教授。ご自身の研究の他に、10年にわたってSDMの国際連携も目指してきました。そんな中野教授に、研究の醍醐味やグローバル人材教育にかける思いを聞きました。

Profile

中野 冠(なかの まさる)

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授

元・株式会社豊田中央研究所。専門分野:ものづくり企業のシステムとビジネ スプロセスのデザイン、持続可能社会のデザインなど。日米欧国際共同研究に参 画。著書に「経営工学のためのシステムズアプローチ」(講談社)、「いま世界ではトヨタ生産方式がどのように進化しているのか!取り残される日本のものづくり 」(日刊工業新聞社)がある。

インターディシプリナリーに課題に取り組む

私は、インターディシプリナリー(interdisciplinary)なアプローチ、つまり多分野の知見を組み合わせた研究に取り組んでいます。研究テーマはさまざまですが、持続可能な街づくりを例に挙げると、その目的を達成するには、法律、経済、環境、社会など非常に多岐にわたる視点からのアプローチが必要です。それは、まさにインターディシプリナリーということです。また、時間軸からのアプローチも重要です。今こういう手を打つことで、将来こうなる。将来のゴールから逆算したら、今何をすべきか。そのシナリオを分析するための定量分析、モデリング・アンド・シミュレーションを行います。もちろん、インタビューなどの質的研究も同時に行うので、学生はかなり大変だと思います。

最近では、「空飛ぶ車」のプロジェクトに着手しています。これも非常にインターディシプリナリーなプロジェクトです。機体のハードウェアはもちろん、ソフトウェア認証といったシステムエンジニアリングの視点も、自動コントロールのための人工知能という視点も、法律面からのチェックも、ビジネスとして成り立つかどうか、という検討も必要です。何十年後のゴール設定に対して、今やるべきことは何なのか、という時間軸のアプローチを行いつつ、一人の技術者、一つの企業では完結できないので、コンソーシアムを立ち上げたり、ネットワークを張り巡らせたり、国内外の企業や大学、組織と協力して取り組んでいます。

楽しみながらも、実践的な学びを目指す

授業は4つを担当しています。代表的な2つをご紹介すると、一つはシステムエンジニアリングの観点でビジネスを見る経営系の授業です。もう一つは、持続可能な社会をつくるためにどうしたらよいかを考える、環境システム論です。両方とも、ビジネスゲームや社会ゲームを使って授業を行っています。ビジネスゲームは、マーケティングやサプライチェーンを体感するゲームで、社会ゲームは、役所や企業、住民など、コミュニティの合意形成を得るまでを体験するゲームです。または南北問題のような世界の政治問題を考えるゲームなども取り入れています。英語の授業では、ビジネスゲームだけを行う授業を持っています。マサチューセッツ工科大学(MIT)やスイス連邦工科大学(ETH)など、海外で作られたゲームも取り入れています。 グループ演習も多く、楽しみながらも実践的に体感して学べる工夫をしていますね。

また、私の研究室には、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、南米、東南アジアなどからの留学生も多くいます。留学生は、日本と自国との比較研究に取り組むことが多いです。食品の安全や、サプライチェーン、環境問題との向き合い方など、日本の課題解決力やそのための技術力に興味があるようです。あるいは、日本企業がどうすると海外でより活躍できるのか、といった研究なども盛んです。日本人だけではなかなか進めづらい研究に積極的に取り組んでいます。

世界に通用する、グローバルリーダーを育てたい

SDMで教鞭をとるようになってから約10年が経ちますが、この間、私は特に「国際連携」を心がけてきました。その成果として、交換留学制度が進んだのはとてもよかったと感じています。今後はさらに、英語の授業の充実を図りたいですね。例えば必修科目を英語にしたら、SDMが「グローバルで活躍するリーダーを育てる場」であることを学生の皆さんに肌で感じていただけるのではないでしょうか。いざという時に立ち上がり、日本をリードできる人を育てたいですね。

そういった思いが伝わっているのか、SDMには優秀な学生が多く集まっています。この10年でSDMの知名度が高まったことも一因だと思います。特にシステムズエンジニアリングとプロジェクトマネジメントについては、他校に先んじているので、差別化できているのではないでしょうか。

SDMの良いところはダイバーシティ、つまり多様性だと考えています。最近は文系の学生が増えている印象ですが、多様性の視点で言えば、理系はもちろん、さまざまなバックグラウンドの方に来ていただきたいです。SDMは、多様性の中で、誰もがみんな、“楽しく”研究できる場ですし、今後もずっとそうあり続けてほしいと思っています。モチベーション高く意欲的に学びたい方、グローバルリーダーを目指したい方には、とても良い場だと思います。