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2018.12.07

空飛ぶクルマラボ 国際航空宇宙展2018東京で「空飛ぶクルマシンポジウム」を開催

 11月29日(木)、国際航空宇宙展2018東京(東京ビッグサイト)にて、慶應義塾大学SDM研究所空飛ぶクルマラボ(※)は航空機電動化コンソーシアムと共催し「空飛ぶクルマ・シンポジウム」(協賛:デロイトトーマツコンサルティング、後援:一般社団法人 日本航空宇宙工業会)を開催しました。会場のTFTホール1000は約500人の参加者の熱気に包まれました。

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 「空飛ぶクルマ」とは、電動垂直離着陸機(eVTOL、イーブイトール)などの空を飛ぶ新しい交通手段で、その特徴は航空機よりカジュアルに、日常生活で利活用できることとされています。今年8月、国土交通省および経済産業省が連携する形で「空の移動革命に向けた官民協議会」が設立され、同ラボの中野冠教授、中村翼研究員も会議構成員を務めています。共催の航空機電動化コンソーシアムはJAXA航空技術部門(次世代航空イノベーションハブ)が中核となり、航空機の電動化技術の開発とともに、我が国の航空産業の拡大を目指しています。

 本シンポジウムは、同ラボの社会人学生海野浩三およびSDM研究所研究員森内倫子の協力を得て企画、運営が進められました。空飛ぶクルマを用いた「3次元交通システム」の実現に向けては、多くのステークホルダーが存在するため、オープンイノベーションによって考える必要があります。そこで、本シンポジウムでは「ビジネスセッション」「機体技術セッション」「運航管理セッション」の3領域に大別する形でプログラムを設定しました。また会場では研究連携先の有志団体CARTIVATORおよび株式会社SkyDriveの提供で、空飛ぶクルマ『SkyDrive』1/5試作機の展示および初披露のムービーの上映も行いました。 

 当日は中本亜紀特任助教が司会進行を務め、開催に先立ち、本シンポジウムが空飛ぶクルマのメリット、課題を包括的視点で議論し、また各参加者が自身にとってのチャンスを考える機会となることを願う旨、開催趣旨を述べました。

 キーノートスピーチでは、経済産業省製造産業局(航空機器宇宙産業課)の海老原史明課長補佐(総括)から「空の移動革命に向けて」、および、日本医科大学千葉北総病院救命救急センター長の松本尚教授(日本医科大学救急医学)から「ドクターヘリの特長と課題」について話を頂きました。

 ビジネスセッションでは、中野冠教授から「空飛ぶクルマのシステムデザインとサービス」の概要と提案、デロイトトーマツコンサルティング合同会社IP&Cセクターの山本 晴一朗マネージャーから「空飛ぶクルマが実現することによる社会的インパクト」について、ご見解を頂きました。

 機体技術セッションではJAXA航空技術部門(次世代航空イノベーションハブ)の西沢啓研究領域主幹をコーディネーターに迎え、パネルディスカッションとして有志団体CARTIVATORの福澤知浩共同代表、株式会社SUBARU航空宇宙カンパニー無人機設計部の阪口晃敏部長、株式会社Temmaの赤坂剛史CTOが会場参加者を交えて話し合いをしました。

 運航管理セッションでは、東京大学大学院工学系研究科(航空宇宙工学専攻)の土屋武司教授から「空飛ぶクルマの運航管理の課題」、JAXA 航空技術部門(次世代航空イノベーションハブ)の原田賢哉研究領域主幹から「ドローン運航管理システムの開発動向 -ドローン物流や空飛ぶクルマの実現に向けて-」の話題が提供されました。

 最後は、東京大学大学院工学系研究科(航空宇宙工学専攻)鈴木真二教授から「空の移動革命を目指してこれだけたくさんの方が熱い思いを持って参加いただいているということは、これを推進する大きな力になると信じています」とのコメントを頂きました。

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※慶應義塾大学SDM研究所空飛ぶクルマラボ
 近い将来のベンチャー輩出と実現に向けた政策立案を目指し、空飛ぶクルマの交通・事業・機体システムデザインを行っている。具体的な研究テーマには、将来の高密度飛行を実現するための自動管制システム、国内外での市場要求調査、機体の技術実現性検証などがあり、それらを連携して進めることによって、システムとしての全体最適を狙うアプローチを取っている。技術・事業両面での研究が必要なことから、メーカー、運航会社、商社などとの産官学連携を積極的に行うと共に、理学部、工学部、経済学部等、文理を問わず学生を受け入れている。 空飛ぶクルマラボの詳細は、こちらをご覧ください。