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2016.03.22

北海道奥尻町共催「地熱利用による地域振興策のシステムデザイン研究の中間報告会」を開催

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM研究科)では、北海道奥尻町と共同で、地熱発電により生まれる電力及び熱資源を活用した地域振興策のシステムデザイン研究を行って参りました。2016年2月19日、この研究成果報告と地熱利用による地域振興への理解促進のために中間報告会を開催致しました。この報告会には、エネルギー関連企業、技術コンサルティング企業、教育関連企業、市民団体、大学など様々な企業や機関から50名を越える参加がありました。
 冒頭、SDM研究科 五百木 誠准教授より、この共同研究の目的や、今年度の20カ所以上に及ぶフィールドワークなど活動実績について報告しました。北海道奥尻町 副町長の田中 敦詞氏より、縄文時代に遡る奥尻島の歴史や、北海道南西沖地震から現在に至る奥尻島の現状について講演頂きました。独立行政法人産業総合研究所 名誉リサーチャーの野田 徹郎氏からは、地熱利用と日本のポテンシャルについての基礎的な解説や、持続可能な地域社会作りについて講演頂きました。株式会社越森石油電器商会 代表取締役の越森 修平氏より、地元エネルギー企業としての実情や、地熱発電に取り組む事業者としての島の未来への思いについて講演頂きました。最後にSDM研究科 富田 欣和特任講師より、地熱を核とした地域振興策について、多視点からのアプローチなど今回のシステムデザインのプロセスや、今後の方向性について報告しました。
 講演後は、会場から質問やコメントが多数寄せられ、地熱利用による地域振興策への強い関心が感じられました。地熱利用の可能性とリスク、地熱発電の具体的な事業性、日本のインフラ輸出戦略への拡張性などに関する質問に対して、野田氏、越森氏や五百木准教授が事例や経験を踏まえながら回答し、会場の皆さんと活発なやりとりを行いました。中間報告会終了後にも、多くの参加者が田中氏や富田特任講師らに直接質問をする様子が見られ、地熱発電や地熱利用による地域振興策への関心の高さを垣間見ることができました。地熱を核とした地域振興策を多視点から総合的にシステムデザインする研究は、まだ緒に就いたばかりですが、今後の可能性を広げる有意義な中間報告会となりました。


田中敦詞氏(奥尻町副町長)による奥尻島の歴史と現状についての講演

野田徹郎氏(産業総合研究所 名誉リサーチャー)による、地熱大国・ニッポンの潜在力についての講演

越森修平氏(越森石油電器商会 代表取締役)による、地熱発電事業化についての講演

中間報告会に多様な企業や機関から多くの参加者が参加