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SDM Voice|陶山 祐司氏(後期博士課程2019年4月入学)

SDM Voice|陶山 祐司氏

大学卒業後、経済産業省に入省。ベンチャーキャピタルへの転職後SDMに入学し、修士課程を修了した後、博士課程で学んでいる陶山祐司さん。日本発のゼブラ企業・ゼブラ経営を世界に広げるチャレンジを始めた陶山さんに、SDMで学んだこと、どんな人がSDMに向いているかについて伺いました。

Profile

陶山 祐司(すやま ゆうじ)

Zebras and Company共同創業者・代表取締役、Tokyo Zebras Unite共同創設者、(一社)日本GR協会理事。

東京大学卒業後、2010年に経済産業省入省。東日本大震災・原発事故の対応、それらを踏まえた中長期のエネルギー政策の企画立案、エレクトロニクス産業の競争力強化などに従事。2014年に退職し、ベンチャーキャピタリストとして様々な企業の投資審査や宇宙開発ベンチャー、IoTベンチャーの事業戦略策定、資金調達、サービス開発、営業等の支援を実施。大企業においても新規事業の開発および組織開発・人材開発・経営支援を実行するとともに、経済産業省での経験と繋がりから政策提言等も行う。現在はZebras and Companyの代表として、社会課題の解決と持続的な経営の両立を目指すゼブラ企業の支援を行っている。

SDMへの興味は白坂成功先生との出会いから

大学卒業後は経済産業省で電機産業の競争力強化などに携わりましたが、日本ではなかなか新しい事業や産業が生まれないという現実を感じていました。その後、転職したベンチャーキャピタルの出資・支援先の一つが月面開発に関連する会社で、宇宙開発がご専門の白坂成功先生とお会いする機会がありました。
先生とは、2040年の月面開発のエコシステムはどうなっているかの検討を一緒にしました。その時、産業のデザインやエコシステムのデザインについて、何をどう考えたらいいのか自分にはまったくわかりませんでしたが、自分には見えていないけれど先生には見えているもの、方法論がたくさんあることを感じ取りました。
そして、以前から「アカデミックな研究をやってみたい」という意欲と、国際的な活動をするには学位が必要だと感じていたこともあり、SDMに興味を持ちました。SDMについて調べてみると、自分の問題意識と共通している点が多くあることがわかり、2017年4月に入学しました。

SDMには学術界や実務界の知恵が詰まっている

僕はSDMに入って「人生が変わった!」と思っています。それは、自分で仕事が取れるようになったからです。入学する前は、ベンチャーキャピタルの創業者が受注した案件のサポートが多かったのですが、入学して半年から1年後には自分でも仕事を取れるようになりました。SDMのメソッドを身につけたことで、自分に自信が生まれたからだと思います。
SDMのバックグラウンドには、学術界や実務界の知恵がぎっしり詰まっています。学んだことをクライアントとの会話に活用することで、話に説得力がすごく増しました。その結果、2018年の夏前に独立。SDMに行かなければ仕事も取れないし、独立もできなかったでしょう。
また、自分にはまったく経験のない新しい領域の相談がきてもビビらなくなりました。例えば現在、北海道で450人が住む住宅地の開発をしています。未経験の分野ですが、専門家を巻き込みSDMのメソッドに基づいて行えば、自分にも大きなグランドデザインとマネジメントができるはずと思っています。他にも、埼玉県のある市では2,000人収容の市民ホール開発のプロジェクトマネジャーを任せてもらっています。そんなチャレンジにも「自分にはできる」という自信を持てるようになったことがSDMに通った大きな成果です。

実務に繋がる方法論や感覚が身につく

SDMの特長の一つであるシステムズエンジニアリングは、自分が見たことや体験したことのない仕組みを新しく作ることが可能になるメソッドです。未経験のプロジェクトでも、どのようにデザインし設計してマネジメントしていくかを体系的に学ぶことができます。SDMというのは体系であり、ある種の言語、リテラシーみたいなものです。より多くの人がこの言語と体系を身につけることで、社会がもっとよい方向に変わっていくと思います。
アカデミックな研究だけしたいのであれば、SDM以外にもっと適した機関があるかもしれません。しかし、ビジネスに研究を活かしたい、実務に役立つ研究をしたいという人にはSDMをお勧めします。ここなら、どうしたら実務に影響を与えられるのかという方法論や感覚が、間違いなくほかの研究機関よりも身につきます。
現在、僕は博士課程の3年目ですが、博士課程があることも特色です。海外の人と話すとドクターの有無で関係性が変わります。博士号を持っていることによって通じる会話もありますし、相手の対応も変わってきます。社会人大学院に通いながら実務もしっかり行い、さらに研究して論文を書いて博士の学位も授与できるのがSDMです。研究とは何かを学び、かつ博士号まで考えている人にとっては理想的な環境だと思います。

社会性と経済性を両立させるのがゼブラ企業

2021年にZebras and Companyを設立して「ゼブラ企業・ゼブラ経営の社会実装」を始めました。ゼブラ企業とは、社会性と経済性の両方を追求し、相利共生(集団・群れとしての共存)を大切にしている企業の総称です。社会に対して果たす役割を常に問い直し、ステークホルダー全員を長期的に幸せにすることを目指します。
Zebras and Companyはベンチャーキャピタルでの経験を踏まえて立ち上げました。ベンチャーキャピタルは投資先を短期間で成長させ、できる限り利益を生み出し株主価値を上げて上場し、上場後も株価を上げ続けることを求められます。しかし、このビジネスモデルに適した領域はSNSや決済系など、お金で時間を買い、できるだけ早くスケールアップを図るビジネスに限られます。