システムデザイン・マネジメント研究科は、東京海洋大学を代表機関として、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が募集した宇宙戦略基金事業の技術開発テーマ「宇宙転用・新産業シーズ創出拠点『SX-CRANE』」(分野共通・第二期)において、技術開発課題「ユビキタスな自律移動社会を支える次世代PNT技術開発(牽引型)」の連携機関として採択されました。なお、PNTとは、Positioning(測位)、Navigation(航法)、Timing(時刻) の3つのことを意味しています。
本技術開発は、東京海洋大学の久保 信明 教授が研究代表者として参画し、本研究科(研究分担者:神武 直彦 教授)が連携機関の一つとして加わるものです。連携機関には、本研究科のほか、麗澤大学、名城大学、芝浦工業大学、大阪公立大学、鹿児島大学、Location Mind株式会社、宇宙サービスイノベーションラボ事業協同組合、ソフトバンク株式会社が名を連ねます。
本研究科は、PNT全体のシステムアーキテクチャと利用エコシステムの設計を担い、技術を社会・産業の実装につなぐ役割を担います。
将来の自律移動社会では、ドローンやロボットなどの分散自動化システムや、それらを支える高速通信ネットワークが社会の基盤として不可欠になります。その実現には、高軌道衛星による測位に加え、低軌道衛星(LEO)や地上設置型のシステムを連携させた、高精度で高信頼な次世代PNT技術が必要です。PNT技術は、交通・物流・通信といった重要な社会インフラを支える基盤であり、技術安全保障の観点からも、研究開発拠点の整備が求められています。
本技術開発課題は、宇宙空間から都市部、屋内、海中までを途切れなくカバーする次世代PNT技術の研究開発を進めるとともに、今後10〜20年にわたり研究開発を牽引する拠点の構築を目指すものです。衛星測位シミュレータの開発、妨害・なりすましに強い高信頼な測位、低軌道衛星や地上系を用いた測位、屋内・海中など電波の届きにくい領域への測位の拡張などの取り組みを通じ、実環境で使える高精度な測位技術の確立を目指します。宇宙分野に加え、陸・空・海の移動自動化技術など非宇宙分野との連携を進め、次世代PNT技術の高度化と研究開発の加速を図ります。さらに、多様な利用場面を通じて産学官の連携を強化し、自律移動社会の実現と新たな産業の創出に貢献します。
神武 直彦 教授コメント
東京海洋大学をはじめとする産学官の皆様と推進する本事業は、宇宙から地上までを途切れなくつなぐ次世代の位置情報基盤を社会に実装するうえで、重要な取り組みだと考えています。自律移動社会では、ドローンやロボット、自動運転など多様な担い手が安全に協調して動くために、高精度な位置・時刻の基盤が欠かせません。本研究科は、システム思考とデザイン思考のアプローチにより、技術の最適化にとどまらず、利用者や事業者など多様な関係者の視点を取り込みながら、実装可能なサービスの構想へと結びつけていきます。陸・空・海・宇宙の領域を越えた連携を通じて、わが国に欠けていた総合的な次世代PNTの研究開発拠点を産学官で築き、次世代を担う人材を育てながら、持続的に発展させていきたいと考えています。
宇宙戦略基金事業について
人類の活動領域の拡大や、宇宙からの地球規模の課題解決が本格的に進み、経済・社会の変革(スペース・トランスフォーメーション)が生まれつつあります。従来の米露欧日に加え、中国・インドをはじめとする各国の宇宙開発競争も激化しています。
宇宙関連産業の市場は急速に拡大し、各国は官主導から官民連携の宇宙開発へと移行しつつあります。我が国でも、宇宙開発の中核機関であるJAXAを結節点として、産学官による宇宙活動を加速することが求められています。
本基金は、「輸送」「衛星等」「探査等」の3分野で、「市場の拡大」「社会課題解決」「フロンティア開拓」の3つの出口に向け、宇宙技術戦略で抽出された技術項目を参照しながら技術開発テーマを設定します。スタートアップをはじめとする民間企業や大学等が、最大10年にわたり大胆に技術開発へ取り組めるよう、宇宙分野の資金配分機関としてJAXAが設置・支援するものです。
(JAXA宇宙戦略基金ウェブサイトから引用、一部改変)
技術開発テーマ「宇宙転用・新産業シーズ創出拠点『SX-CRANE』」について
我が国の宇宙産業は、JAXAやそれと緊密に連携する一部の主要企業を中心に発展してきました。激化する国際競争に対応するには、特色ある技術や領域で国際競争力のある宇宙分野のクラスターを形成し、持続的なイノベーションと競争力の確保につなげる必要があります。
本テーマは、宇宙分野の先端技術や、全国に潜在する宇宙分野へ活用可能な非宇宙分野の技術をもつ大学等の研究者を対象とします。その研究者を中核とした体制により、宇宙分野の裾野を広げつつ、国際競争力のある革新的な研究開発成果を創出・社会実装するための拠点づくりを進めます。推進体制は、卓越した研究者を中核とする牽引型と、高度な研究開発環境を中核とする共用型の二つを想定し、非宇宙分野の技術の宇宙分野への適用や、新たな宇宙産業・利用ビジネスの創出につながる提案を広く求めました。
これにより、大学等の研究者・研究グループと民間事業者等との連携を構築し、地域特性とのシナジーなどを通じて、将来の我が国の宇宙開発で最先端を担う研究開発拠点への発展を目指します。
(JAXA宇宙戦略基金ウェブサイトから引用、一部改変)
