文部科学省による令和6年度宇宙航空科学技術推進委託費の公募における宇宙航空アーキテクト育成プログラムに、主管実施機関として慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下、慶應SDM)の白坂成功教授、共同参画機関として和歌山大学イノベーションイニシアティブ基幹の秋山演亮教授、大阪公立大学大学院工学研究科の小木曽望教授、福井大学産学官連携本部の青柳賢英特命准教授からなるチームの提案「MBSEを活用する宇宙アーキテクト育成プログラム」が採択されました。本提案を通して「モデルベース開発手法(Model Base Systems Engineering : 以下、MBSE)を活用する宇宙アーキテクト人材」の育成を行います。
◼︎本提案の背景と目標
近年、宇宙分野の進歩は激しく、通信・観測衛星のコンステレーションや再使用型のロケットなど、大規模複雑なシステムの開発が活発になっています。また、大規模複雑なシステムの開発を確実に実施するため、システム開発の方法論にもデジタルエンジニアリングが導入され、MBSEなどの最新開発方法論の適用が世界的に進みつつあります。加えて、日本政府が2024年3月に策定した「宇宙技術戦略」でもMBSE等を活用したシステム技術の重要性が指摘されています。そこで、本提案においては、慶應SDMが行ってきた「アーキテクト人材育成の教育プログラム」と、共同参画機関が行ってきた航空宇宙工学分野における「実践的知見と機会」を統合することで、MBSEを活用する宇宙アーキテクト人材の育成を目指します。
■慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科について
慶應SDMは、複雑多様な社会課題を解決するために、世界をシステムとして捉えて新しい価値を創出する人材の育成を行っています。今回のMBSEアーキテクト人材育成では、慶應SDMの教育の基盤であるシステムズエンジニアリング/MBSEをベースとし、共同参画機関と連携して、宇宙アーキテクト人材の育成評価手法の開発を推進していきます。
◼︎和歌山大学イノベーション・イニシアティブ基幹 共同利用・共同研究推進室について
2010年に宇宙教育研究所を設置、組織変えを経た現在も宇宙教育研究プロジェクトとして長年に渡り国内における宇宙教育を牽引。国内の多くの大学生・高校生が参加するハイブリッドロケット・モデルロケット・CanSat/・BalloonSat等を使った実践的な教育プログラムを実施してきました。今回さらに慶應義塾大学が進めるMBSE教材を適用する事により、より定量化された宇宙アーキテクト人材の育成・評価手法の開発に務めます。
◼︎大阪公立大学小型宇宙機システム研究センターについて
小型宇宙機システム研究センター( https://www.omu.ac.jp/eng/sssrc/ )では、学部・学科の枠を超えて、学部1年生から大学院生までが協同して、CubeSatやハイブリッドロケットの研究開発を実施しています。学部1年生は導入教育としてCanSatの研究開発を行っています。今回のMBSEアーキテクト人材を通して、設計目標・設計要求の構築から開発・運用までを体系立てて実践できる人材が育つことを目指します。
◼︎福井大学産学官連携本部について
福井大学では、地域企業らと連携して多数のCubeSatの研究開発を進めています。宇宙産業の更なる活発化を目指し、宇宙産業人材育成にも力を入れており、CubeSat教材を用いた実践的な教育を企業や学生に対して行っています。今回、MBSEを活用することで、衛星システム全体に対する技術力を向上させるための教育手法の開発を目指します。
【事業の詳細について】
文部科学省ホームページをご覧ください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/jigyou/detail/1347482.htm#r06