SDM e-Learning システム
※このシラバスは学期開始時に設定されたものです。授業日程等は学期中に変更される可能性がありますので、
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慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科
2018年度春学期 授業シラバス
KEIO UNIVERSITY GRADUATE SCHOOL OF SYSTEM DESIGN AND MANAGEMENT
Syllabus for Spring semester 2018


国際政治経済システム論 / INTERNATIONAL POLITICAL ECONOMY: DISCUSSIONS ON ITS SYSTEMS

担当教員
Instructor
谷口 智彦
開講日程
Date and Slot
水曜日6時限 Wednesday 6th


前提科目・関連科目
Prerequisite or Related Course
    関連科目は、ない。前提は、すべからく積極的で、口を開くことを厭わないことの一点。
履修条件
Course Requirements
    文頭に「なので…」という亜接続詞を置いたり、同意の強要に当たる「…じゃないですかぁ」の語尾を用いるのを嫌う繊細な語感の持ち主であること。ホワイトボードを写真に撮って済ませる厚顔は、これを持ち合わせないこと。
開講場所
Class Room
    C3N14
授業形態
Type of Class
    一方向の座学はない。たくさん発表してもらいます。
キーワード
Keyword
    政治経済学、日本近代、戦後、外交、安全保障
授業に関する連絡先
Contact Address for Inquiry Regarding the Course
    taniguchi@sdm.keio.ac.jp
授業URL
Class URL
    ない
科目概要(詳細)
Course Description
     「国際政治経済システム論」とは当初こそ名は体を表すといってよいものだった。しかるに同じシラバスを例年繰り返す単純・退屈に、諸君の講師は率直に言って耐えることができない。講師自身面白がることを専一としていることから、講義内容は例年変わって今日に至る。

     とはいえそこに三本、柱は通っているのであって、@政治と経済を綜合する視座からするのでなければ、またA何事につけ歴史の相に置いて、B世界の文脈に照らして眺めるのでなければ、およそ世の来し方行く末は理解できないとする立場は揺るがない。

     本年2018年とは明治150年に当たるのみならず、平成の御代が幕を下ろすそのまさに前年に相当する点からしても、時代の画期を感じさせずにはいない。本講義の主題は、そこから着想した。

     仮に題して「文庫・新書で読む明治150年」。

     一世紀半というと長いようだが、この間には四代の父ら、母たちがいるに過ぎない。しかして四世代の日本人を見舞った栄光と汚辱と、比類なき達成と――。君たちは知らないで、なんのシステムをデザインしようというのか、できると思うのだろうか。この問いに接しなにごとか知的衝動に駆られた者は、ぜひ参加されたし。

     文庫と新書だけでなんとかやり抜こうというには、二つ理由がある。

     一つ目は言うまでもなく課題図書を図書館などで借りるのでなく、自腹で購(あがな)ってほしいということ。買い求めやすいのは文庫か新書だからである。ちなみに文庫、新書とも英米に存在しない日本独特の良書低廉普及システムだ。

     さらには1週間で1冊というペースの読書を続けられる者だけに参加してほしい、いや、この講義に参加することで、他のどんな課題がいかほど厳しかろうが苦しかろうが、たかが文庫や新書くらい、7日で1冊なら平気で読む習慣をつけてほしい。そう願うゆえである。

     講師は安倍晋三総理の外交政策スピーチライターである――と、世間は言挙げしている。東京五輪招致演説や、米上下両院合同会議演説などを手掛けたとのこと(講師本人はこれを否定、肯定ともしない)。

     総理官邸に執務室をもち、内閣官房参与である講師は、ひとたび教室に入るとなにものにも縛られず発言するけれども、参加者は講師との間で、受講と同時に協定を成り立たせることになる。すなわち閉鎖系で提供するビデオ教材を含め、本講義にはチャタムハウス・ルールの信義則がかかる。弁えて参加されたい。

     評価には出席を重んじ、発表、発言、質問などクラスへの貢献を最も重視する。質問しない者に、高い点数はつかない。やむを得ぬ事情で身柄を日吉に運べない学生は、ビデオで履修すればよい。とはいえ教室の熱量に影響を与え得ない参加者に最上級の評価はやれないから、そこもあらかじめ弁えておいてもらう必要がある。

     これとは別に、各週日曜23時59分を締め切りとして、各人に講義を反映した小論を書きe-learningサイトに投稿してもらう。直前回の講義から、収穫としたところを3点述べることを必須とし、あとは形式、内容とも自由とする。

     毎回課題図書を読了してきたか、教室への貢献は、高低どうだったか、事後の小論は(日本語運用能力を含め)どの程度の水準に達していたか。SがつくかC以下になるかは、これらを総合的に見て決める。なお以下英文の講義内容サマリーも参照のこと。以上に記さなかったところも書いてある。

    Your instructor launched the course in 2008 to equip the participants with knowledge in the field of international political economy, a discipline first developed in the U.S., circa 1970, to answer the then dubbed "Big Questions" such as what would happen to the U.S. hegemonic dominance in the world.

    The course soon took a turn, though, to guiding the class to pay serious heed to our recent, shared past. It now deals more with Japan's post-war development and looks less at IPE questions per se. The rationale behind the turn is three-fold: 1) without the knowledge of what preceded the present one does not fully grasp what happens in what way before our eyes NOW, let alone what ought to be designed for the FUTURE; 2) and yet those tasked with designing the future, viz., engineers of all kinds, often cite their dislike of learning of history for; 3) history as an academic subject matter rarely deals with creativity, hence tends to discourage students to think out of the box.

    The class first attempts to fill the apparent void of knowledge. The only way to do that being read, read, and read more of history, the class is exposed to a whole variety of articles, documents and papers with which the class provokes lively discussions on what happened when and how.

    We are at a school of which mission is to foster future systems designers who could add something new to better the lives of people. The newness, however, can be defined only in comparison to the past and the present, i.e., history. That alone explains, your instructor believes, why you must delve into our recent past.

    The class is highly interactive. "Speak out or go out" guiding your instructor as his principle the class must make a number of presentations. Participation, therefore, is crucial. Given his background as Special Advisor to Prime Minister Shinzo Abe's Cabinet, Chatham House Rule rules.















主題と目標/授業の手法など
Objective and Method of the Course
    科目概要に記した要目に加え、以下を銘記のこと。

    1)講義のFacebookを開設するから、受講希望者はログオンに用いるメールアドレスを必ず講師に伝えること。急ぎの連絡は学生部からのものに加え、Facebookでも行い二重系とする。オフ・クラスの生き生きとした討論にも用いる。

    2)講師は総理の外遊にしばしば同行するため、授業日程の変更が時としてあり得る。その場合、夜10時まで3時間通しの講義を実施し、埋め合わせることがある。

    3)夜7時開始であるから、講義中の飲食を許す。ただし騒音にならない範囲で。
教材・参考文献
Textbooks and References
    毎回文庫か新書を1冊ずつ読んでもらう。各回の項で何かを示す。なかには古書としてしか入手できないものがある。それを含めても、手に入れるのが容易なものばかりを選んだ。一括購入したところで値段は知れているから、学期当初にすべて買い揃え、片端から読むことを強く促したい。
提出課題・試験・成績評価の方法など
Assignment, Exam and Grading Details
    科目概要参照
履修上の注意
Notification for the Students
e-learning開講の有無
Availability on e-learning System
    e-learningを開講する
e-learningで受講する場合の注意事項
Guideline for e-learning Students
    科目概要参照
授業計画
Course Schedule

    No.1 2018/04/11 世代間認識格差の再確認 (By 谷口智彦(以下TTと略記))
    講師が見てきた時代を話す。講師がスライドを用いるのはこの回のみ。生きる時代によって自我と社会に対する認識が異なる事実を再確認してもらう。自分たちはどんな時代を生き、いかなる認識の拘束下にあるか、議論してもらう。次回までに課題図書を読了すること。

    No.2 2018/04/18 福澤を準備した江戸 (By TT)
    高橋敏『江戸の教育力』(ちくま新書)を全員が読んでくる。ボランティアを一名、ないし二名一組のペアを一組募る(これは以下順次各回同様)。現代を生きる我々にとって最も意味深いと思われる点3点を抜き書きし、説明するとともに、同書の豊富なエピソードにつき感じ入ったところを具体的に述べ、クラスの議論を喚起する(この手法も以下順次各回につき同様)。

    No.3 2018/04/25 明治維新再考 (By TT)
    西郷、大久保、坂本。維新の指導者はみな若い。どれほど若かったか。いかに互いの意思を通い合わせたか。リーダーシップとコミュニケーションから見る明治維新の再考を、坂野潤治・大野健一共著『明治維新1858-1881』(講談社現代新書)でたどる。方法は前回と同様(ということを、以下では特に断らない)。

    No.4 2018/05/02 福翁自伝その1 (By TT)
    入学時支給された福澤の自伝を、2回に分けて読む。近代日本においてはむろん、洋の東西を通じて見ても、傑作中の傑作といえる自伝だ。今回はその前半を読む。

    No.5 2018/05/09 福翁自伝その2 (By TT)
    前回に続き、残余の後半を読む。

    No.6 2018/05/16 武士の娘 (By TT)
    「江戸の教育力」は、武士を福澤のような開明家に育てたのみでない。「武士の娘」を立派に育てもした。渡米したとある女性が著した名著、杉本鍼子『武士の娘』(ちくま文庫)を読む。

    No.7 2018/05/23 城下の人 (By TT)
    ネイションステートとなること自体が、明治時代にあっては稀有な達成だった。日清、日露の戦役を生きた一武人の回想は、汲みつくせない示唆を与えてくれている。石光真清『城下の人 - 新編・石光真清の手記 一 西南戦争・日清戦争』(中公文庫)を読む。

    No.8 2018/05/30 外交という必死のわざ (By TT)
    日露戦争当時の外相を扱い今日的示唆を探った好著を読んで、明治の達成と、その後の蹉跌に思いを致す。岡崎久彦『小村寿太郎とその時代』(PHP文庫・古書)

    No.9 2018/06/06 マルタの碑 (By TT)
    2017年5月、安倍晋三総理は地中海の島国マルタを訪れた。目的は、ここに眠る士卒の霊を慰めるため。大正時代の地中海で、日本は何をしていたのか。歴史に材をとった小説、秋月達郎『マルタの碑』(祥伝社文庫)を読み、この延長上にあり得たかもしれない日本の姿を想像する。

    No.10 2018/06/13 東京に暮らす (By TT)
    1920年代末から30年代半ばというと、日本のいわゆる「暗転」期である。けれども中産階級が生まれ、市民的秩序は東京においてひとつの達成をみていた。キャサリン・サンソムという一英国人女性は当時の東京に、何を見たか。『東京に暮らす』(岩波文庫)で当時を追体験してみる。

    No.11 2018/06/20 保田與重郎が見た朝鮮と満州 (By TT)
    保田與重郎はすでに忘れられたか? 当時の若者たちに絶大な影響力をもった文人保田の紀行文を読む。文学者が映し出した朝鮮、満州の姿は、図式的決めつけを拒むニュアンスに満ちている。植民地をもっていたとは、どんな状態だったか。せめて類推を働かせてみる。読むのは保田『蒙疆』(新学社・保田與重郎文庫10)

    No.12 2018/06/27 組織の経済学から見た日本軍の失敗 (By TT)
    勝ち目のない戦争を始めただけでなく、日本の軍事組織は戦時中、合理性のかけらすらないかに見える戦いを始めては、無惨な失敗を続けた。それはわれわれの父祖たちが、どこまでも非合理的な考えの持ち主だったからか? 組織も人間も、「合理的」に過つ。慶應義塾が生んだ組織経済学の一人者の書で、旧軍のいわゆる異常な行為を再考し、現代的教訓を探る。読むのは菊澤研宗『組織の不条理・日本軍の失敗に学ぶ』(中公文庫)

    No.13 2018/07/04 大宅壮一の描写力 (By TT)
    戦後に移る。題材は企業。大宅壮一という希代のジャーナリストは、昭和を代表する会社の数々に生き生きとした描写を与えていた。われわれのよく知る会社が、戦後どう成長したのか。その原点を読んでみる。大宅壮一『昭和の企業』(ちくま文庫)

    No.14 2018/07/11 昭和の精神史1 (By TT)
    戦争へと突入した歴史に思念を沈潜させた文章として、竹山道雄『昭和の精神史』は重みを失わない。「ビルマの竪琴」を著し、旧制一高の教え子たちを弔った竹山は、なぜ、どうして、ああなったのか問い続けて本書を書いた。二回にわけて読み、歴史を知るとはどんな行為か、思いを致して講義を締めくくる。

    No.15 2018/07/11 昭和の精神史2 (By TT)
    前回と同様



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