No.1 2018/04/11 世代間認識格差の再確認 (By 谷口智彦(以下TTと略記))
講師が見てきた時代を話す。講師がスライドを用いるのはこの回のみ。生きる時代によって自我と社会に対する認識が異なる事実を再確認してもらう。自分たちはどんな時代を生き、いかなる認識の拘束下にあるか、議論してもらう。次回までに課題図書を読了すること。
No.2 2018/04/18 福澤を準備した江戸 (By TT)
高橋敏『江戸の教育力』(ちくま新書)を全員が読んでくる。ボランティアを一名、ないし二名一組のペアを一組募る(これは以下順次各回同様)。現代を生きる我々にとって最も意味深いと思われる点3点を抜き書きし、説明するとともに、同書の豊富なエピソードにつき感じ入ったところを具体的に述べ、クラスの議論を喚起する(この手法も以下順次各回につき同様)。
No.3 2018/04/25 明治維新再考 (By TT)
西郷、大久保、坂本。維新の指導者はみな若い。どれほど若かったか。いかに互いの意思を通い合わせたか。リーダーシップとコミュニケーションから見る明治維新の再考を、坂野潤治・大野健一共著『明治維新1858-1881』(講談社現代新書)でたどる。方法は前回と同様(ということを、以下では特に断らない)。
No.4 2018/05/02 福翁自伝その1 (By TT)
入学時支給された福澤の自伝を、2回に分けて読む。近代日本においてはむろん、洋の東西を通じて見ても、傑作中の傑作といえる自伝だ。今回はその前半を読む。
No.5 2018/05/09 福翁自伝その2 (By TT)
前回に続き、残余の後半を読む。
No.6 2018/05/16 武士の娘 (By TT)
「江戸の教育力」は、武士を福澤のような開明家に育てたのみでない。「武士の娘」を立派に育てもした。渡米したとある女性が著した名著、杉本鍼子『武士の娘』(ちくま文庫)を読む。
No.7 2018/05/23 城下の人 (By TT)
ネイションステートとなること自体が、明治時代にあっては稀有な達成だった。日清、日露の戦役を生きた一武人の回想は、汲みつくせない示唆を与えてくれている。石光真清『城下の人 - 新編・石光真清の手記 一 西南戦争・日清戦争』(中公文庫)を読む。
No.8 2018/05/30 外交という必死のわざ (By TT)
日露戦争当時の外相を扱い今日的示唆を探った好著を読んで、明治の達成と、その後の蹉跌に思いを致す。岡崎久彦『小村寿太郎とその時代』(PHP文庫・古書)
No.9 2018/06/06 マルタの碑 (By TT)
2017年5月、安倍晋三総理は地中海の島国マルタを訪れた。目的は、ここに眠る士卒の霊を慰めるため。大正時代の地中海で、日本は何をしていたのか。歴史に材をとった小説、秋月達郎『マルタの碑』(祥伝社文庫)を読み、この延長上にあり得たかもしれない日本の姿を想像する。
No.10 2018/06/13 東京に暮らす (By TT)
1920年代末から30年代半ばというと、日本のいわゆる「暗転」期である。けれども中産階級が生まれ、市民的秩序は東京においてひとつの達成をみていた。キャサリン・サンソムという一英国人女性は当時の東京に、何を見たか。『東京に暮らす』(岩波文庫)で当時を追体験してみる。
No.11 2018/06/20 保田與重郎が見た朝鮮と満州 (By TT)
保田與重郎はすでに忘れられたか? 当時の若者たちに絶大な影響力をもった文人保田の紀行文を読む。文学者が映し出した朝鮮、満州の姿は、図式的決めつけを拒むニュアンスに満ちている。植民地をもっていたとは、どんな状態だったか。せめて類推を働かせてみる。読むのは保田『蒙疆』(新学社・保田與重郎文庫10)
No.12 2018/06/27 組織の経済学から見た日本軍の失敗 (By TT)
勝ち目のない戦争を始めただけでなく、日本の軍事組織は戦時中、合理性のかけらすらないかに見える戦いを始めては、無惨な失敗を続けた。それはわれわれの父祖たちが、どこまでも非合理的な考えの持ち主だったからか? 組織も人間も、「合理的」に過つ。慶應義塾が生んだ組織経済学の一人者の書で、旧軍のいわゆる異常な行為を再考し、現代的教訓を探る。読むのは菊澤研宗『組織の不条理・日本軍の失敗に学ぶ』(中公文庫)
No.13 2018/07/04 大宅壮一の描写力 (By TT)
戦後に移る。題材は企業。大宅壮一という希代のジャーナリストは、昭和を代表する会社の数々に生き生きとした描写を与えていた。われわれのよく知る会社が、戦後どう成長したのか。その原点を読んでみる。大宅壮一『昭和の企業』(ちくま文庫)
No.14 2018/07/11 昭和の精神史1 (By TT)
戦争へと突入した歴史に思念を沈潜させた文章として、竹山道雄『昭和の精神史』は重みを失わない。「ビルマの竪琴」を著し、旧制一高の教え子たちを弔った竹山は、なぜ、どうして、ああなったのか問い続けて本書を書いた。二回にわけて読み、歴史を知るとはどんな行為か、思いを致して講義を締めくくる。
No.15 2018/07/11 昭和の精神史2 (By TT)
前回と同様