SDM e-Learning システム

慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科
2015年度春学期 授業シラバス
KEIO UNIVERSITY GRADUATE SCHOOL OF SYSTEM DESIGN AND MANAGEMENT
Syllabus for Spring semester 2015


行政・経済システム論 / ON PUBLIC ADMINISTRATION AND ECONOMY: ANALYZING THEIR SYSTEMS

担当教員
Instructor
谷口 智彦、谷口 尚子
開講日程
Date and Slot
木曜日7時限 Thursday 7th


前提科目・関連科目
Prerequisite or Related Course
    国際政治経済システム論と親和性が高い。
履修条件
Course Requirements
    現実政治、経済社会で何が議論されているかおよその見取り図をもっていること。
開講場所
Class Room
    C3N14
授業形態
Type of Class
    講義、時折グループワークを課す
キーワード
Keyword
    政治、経済、行政、財政、保健、エネルギー、政策
学生が利用する予定機材・ソフト等
Machinery and materials / Software
    特になし
授業に関する連絡先
Contact Address for Inquiry Regarding the Course
    taniguchi@sdm.keio.ac.jp
授業URL
Class URL
    開設しない
科目概要(詳細)
Course Description
    【初めに注意!】本講義は、今年度初めての開講となります。今年は、Chatham Houseルールで実施します。聞いた中身を余所で紹介することは構わないが、誰が話していたか、その出所について厳秘とするルールです。facebook、twitterなど、ソーシャルメディア含め「拡散」することを認めません。

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      すべからく制度とは昨日までの現実から抽出した課題に対し、示して見せた解決策ないしはその束である。明日新たな問題が生じたとき、そのまま対応できることはむしろ稀だ。
      課題それ自体が政治、経済多岐に亘る利害の輻輳であって、その解として案出される制度は課題の何かを捨てることで漸く現実性を保つ。
      現実社会の諸制度をひとつのシステムと見做し、いわゆるSDM的にこれを眺めながら、問題点の確認、新たな制度設計への着想を得る。いわば政治経済諸制度を対象化して眺めたうえ、その分析や改善策に想を致そうとするもの。受講者は必須科目で教わる手法の応用可能性につき、毎回省察することが望まれる。








主題と目標/授業の手法など
Objective and Method of the Course
    制度とは設計(デザイン)され、管理(マネジ)されて、その方法的有効性を日々verifyされ、かつ達成目標との関連においてvalidか否か確かめられるものだ。本講義を通じ、政治経済社会における種々の制度が、かかるプロセスを経て生まれる作為の所産である点、実感として理解してもらえることが最低の達成条件。それによって、所与の制度、システムに対し、能動的に改善を迫る主体意識が育つ。「わたしでも」つくれるもの。それが、世の中の制度でなければならない。政治や経済、行政に材を取る研究を進める際、何に拠り、いかなる手法を用いるべきか、併せて見取り図をつくれるとよい。
教材・参考文献
Textbooks and References
    適宜配布し、指示する。
提出課題・試験・成績評価の方法など
Assignment, Exam and Grading Details
    【重要・要注意】 成績は各グレードに満遍なく分布させる。「親心」を発揮しAとA+ばかりという点の付け方はしない。   期末レポートは、必須に非ず、任意提出とする。提出の際は、「●●政策」と称される何か(ex. 社会保障政策、安全保障政策、教育政策、外交政策、農業政策、産業政策、国土開発政策 など)を選んだうえ、まずは1970年時点における同政策の様態を描写しつつ、それがいかなる要求のもと、どんなデザインによってつくられたもので、その効果は果たしてvalidだったか、最低4000字(本文のみ。註を含まず)で述べてもらう。これは水曜6限「国際政治経済システム論」と全く同じ課題。両方を受講する者で、期末レポートを出そうとする者は、これを1本仕上げることで双方の課題を満たせると考えてよい。同レポートのネット経由提出期限は、7月21日火曜日午前零時。   これとは別に、各回出席を取る。講義への貢献度を評価の柱とするから、3回以上欠席したものに、高得点はやれない。   併せて、各回、出席票代わりに感想を記してもらう。講義内容の理解、想像力、創造性などをここで見て、期末評価の参考とする。
履修上の注意
Notification for the Students
     かかる評価の形式からして、参加者個々の顔、名前を、インストラクターが完全に一致させたうえ、把握しておく必要がある。下記連絡先に、なるべくなら大きなサイズの写真を、氏名や自己アピールとともに、必ず送付すること。
e-learning開講の有無
Availability on e-learning System
    e-learningを開講しない
授業計画
Course Schedule

    No.1 2015/04/09 オリエンテーション (By 谷口智彦)
    次回以降9回を担当する谷口尚子特別招聘准教授について紹介しつつ、日本の行政・経済システムが数十年に一度の屈曲点に逢着した事実につき理解を深めてもらう。

    No.2 2015/04/16 政策の対立軸 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
    現代政治は何を軸として対立しているのか。「保守ー革新」対立軸も、内実は多様かつ一般には曖昧である。様々な分野における対立軸の具体的内容を整理し、また自分のイデオロギーを相対化してみよう。

    No.3 2015/04/30 政治・行政・経済の関係 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
    政治・行政・経済のシステムは単体で機能するものではない。「政府の失敗」「市場の失敗」といわれるような課題を踏まえて、これらのベストな相互関係を考える。

    No.4 2015/05/07 議会システム 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
    政策はどのような過程を経て具現化されるのか。英米日の議会システムの特徴を踏まえ、とりわけ日本の立法過程に関する諸論点(アジェンダ・セッティング、法案審議の流れ、与野党の役割、政官関係、国会改革等)について検討する。

    No.5 2015/05/14 官僚システム 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
    日本は官僚優位な「行政国家」といわれる。この官僚システムの諸特徴(組織構造、立法過程・政治過程における役割、執政部・政治家・政党・社会との関係、行動様式等)を踏まえて、その問題点と改善すべき点を検討する。

    No.6 2015/05/21 中央・地方行政システム 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
    中央政府(国)と地方政府(自治体等)の関係は国によって様々である。中央・地方行政システムの諸類型を概観した後、日本のシステムの特徴と課題を深堀りする。特に、地方分権改革(財政・事務権限の分権化、人口減少に抗する地域再生策等)について議論する。

    No.7 2015/05/28 民主主義のシステム 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
     「民主主義理論の歴史」は「学問の歴史」でもある。アリストテレスからサンデルに至るまで民主主義システムがどのように論じられてきたかを概観し、注目されるデモクラシー論(ポピュリズム、ラディカリズム、熟議民主主義、「民主主義2.0」等)について考える。

    No.8 2015/06/04 選挙システム 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
    選挙システムはその社会の権力の有り様を決める。代表的な選挙システムの諸特徴、長所短所を確認後、日本の選挙システムと政党システムや有権者の政治行動との関係を検討する。また、これからの日本社会にとって望ましい選挙システムについて議論する。

    No.9 2015/06/11 政党システム 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
    政党システムは、その社会の歴史や政治的文脈、社会的亀裂、選挙システム等に規定される。政党システムの諸類型を概説し、特に日本の政党システムの歴史と社会の変化との関係を論じる。あわせて政党の役割と機能、その変容について考える。

    No.10 2015/06/18 多元的ガバナンス 「双方向」 (By 谷口、谷口尚子)
    現代の政治システムでは、政党・政治家・官僚・有権者のみならず、マスメディアや利益団体といった第4、第5の権力の影響も大きい。報道や利益団体が政治システムにどのように関わるかを概観し、今日の多元的なガバナンスのあり方について議論する。

    No.11 2015/06/25 個別研究1(医薬品行政) 「実務家教員(以下「実教」。谷口智彦と金子悟) 「双方向」 (By 谷口、金子悟)
    国民健保、職場単位の健保は財政的に難問を抱える。医療費が膨らむことを、どう抑えるか。21世紀中葉にかけて我が国を襲う難問を考える前後編。初回は、変わる制度の全貌につき、大きな見取り図を得る。

    No.12 2015/07/02 個別研究2(医薬品行政) 「実教(谷口智彦、金子)」 「双方向」 (By 谷口、金子悟)
    前回に続き、次代を担う産業として競争政策上も期待がかかる医薬品の開発と、行政との関わりについて眺める。

    No.13 2015/07/09 個別研究3(電力システム) 「実教(谷口智彦、出光啓祐)」 「双方向」 (By 谷口,出光 啓祐:IDEMITSU, Keisuke)
    ポストフクシマの電力ベストミックスを考える。達成目標は何か。要求される仕様はどのようなものか。それを、いかにミニマムな経済・社会コストで実現するか。電力システムを素材に考える回となる。

    No.14 2015/07/16 個別研究4(エネルギー行政と政治の課題) 「実教(谷口智彦、出光啓祐)」 「双方向」 (By 谷口,出光 啓祐:IDEMITSU, Keisuke)
    前回に続き、広義のエネルギー行政と、それを取り巻く政治的要因を眺めたのち、あるべきエネルギー政策について想をめぐらす。全体のラップアップも兼ねる。

    No.15 2015/07/23 まとめと展望 「実教(谷口智彦)」 (By 谷口)
    本講義を受講し、国際政治経済システム論を選択していない者のうち、期末レポートを提出した者から優秀なものを選んで紹介し、取り上げられた論点につき議論するとともに、全体を総括する。



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