SDM e-Learning システム

慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科
2015年度秋学期 授業シラバス
KEIO UNIVERSITY GRADUATE SCHOOL OF SYSTEM DESIGN AND MANAGEMENT
Syllabus for Fall semester 2015


経営・財務戦略論 / MANAGEMENT AND FINANCIAL STRATEGY

担当教員
Instructor
当麻 哲哉吉田 篤生
開講日程
Date and Slot
木曜日6時限,木曜日7時限 Thursday 6th ,Thursday 7th


前提科目・関連科目
Prerequisite or Related Course
    とくになし(※履修上の注意参照のこと)
開講場所
Class Room
    C3S10,C3S10
授業形態
Type of Class
    講義とクラス討議が中心。企業の現場見学会あり。
授業に関する連絡先
Contact Address for Inquiry Regarding the Course
    t.toma@sdm.keio.ac.jp
科目概要(詳細)
Course Description
    企業活動を時の経過の中で営まれる歴史物語として捉えると、その物語を表現する方法としての言語が会計である。経営の目的を、拡大再生産と利益追求に置く工業社会で洗練された伝統的なマネジメントは、一人ひとりの個を大切にする「自然との調和」を目指す新しい社会においては通用しなくなってきている。新しい社会の新しい経営のあり方を現場の経営者とともに考え、経営の成果を表現する財務諸表が、企業の歴史の底を流れる組織や文化、精神の伝統の表現であることを体感していく。


主題と目標/授業の手法など
Objective and Method of the Course
    2コマ連続(3時間)の教室授業を6回と、学外に出て行われる企業見学会を1回(11月9日終日)計7回で構成。教室授業では、税理士として企業経営の現場を40年間見続けてきた吉田の講義の他に、老舗企業の社長や若手有望企業経営者をお招きして、実際の経営戦略を聞き、クラスディスカッションを通して現場の生の経営を学ぶ。企業見学会は、愛知県の工作機械メーカーの本社・工場の見学を予定。 7回の講義から、企業の成長や挫折や再生をめぐる歴史をたどることで、現場における様々な問題解決をシステマティックに解決する手法や、企業経営の本質とこれからの資本主義のあり方を考えていく。
教材・参考文献
Textbooks and References
    とくに指定なし
提出課題・試験・成績評価の方法など
Assignment, Exam and Grading Details
    出席点、貢献度(クラス討議等での発言等)、レポートなどを総合して評価
履修上の注意
Notification for the Students
    【予備知識について】財務諸表が読めなくても、経営の本質と会計を学べるような講義形態となっている。予備知識がなくても、企業経営に興味があれば歓迎する。 【企業見学会について】11月9日は企業見学会で終日学外活動(7:45-20:30を予定)となる。講義時間が異なるので注意する。見学会への欠席は、正当な理由があれば認めるので、担当教員へ連絡すること(相当分の宿題を課す)。 【日程について】学事日程にある11月12日と、12月24日は休講とする。補講として11月9日の企業見学会(終日)、および1月14日の講義(6-7限)を行う。
e-learning開講の有無
Availability on e-learning System
    e-learningを開講しない
授業計画
Course Schedule

    No.1 2015/10/01 会計の本質と物語論(1)「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    1. 企業の活動は、時の経過の中で営まれているが取引の時間とそれが表現される財務諸表の時間が交互作用するため、歴史物語としての会計がそこに存在する。こうした会計の本質を、歴史的側面と技術的側面の両面から見ることで、数字の背後にある複雑で奥の深いものが想像力によって見えてくる。
    2. 今、資本主義社会で起っている新しい流れは、会計の世界においても同様である。資本市場における投資家の情報要求のみに重点を置く会計制度は、グローバリゼーションという名の下で本来の会計の使命を失ってきている。企業のあらゆる取引を表現する言語としての会計の役割は、単なる情報伝達の手段ではなく、全ての利害関係者へのメッセージである。
    3. 制度会計における企業評価の概要を解説し、会計の専門家でない人が、経営の大局を見るための基本的な知識を学ぶ。
     4.ケーススタディ
    企業に生起する多くの問題を解決するための、SDM的アプローチの実際を、ケーススタディで学ぶ。



    - 吉田 篤生氏 「実務家」

    ( User: sdm / Password: management )

    No.2 2015/10/01 会計の本質と物語論(2)「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    同上

    No.3 2015/10/15 経営危機に直面したある企業の戦い(1)「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    経営の継続を妨げるものは、企業の経営戦略の優劣以外にその時代の流れや、国家の政策に翻弄される金融機関や財政当局の保身という大きな壁が存在している。こうした中で、経営危機に陥っても債務の切り捨てを含む法的な加護を受けられない中小企業は、生き残るためにあらゆる手だてを講じて戦い抜いていかなければならない。ある典型的な中小企業の経営の軌跡を通して、経営の現場のドラマを体感し、その物語の言語として財務諸表に表われる数値の変遷を追っていく。

    No.4 2015/10/15 経営危機に直面したある企業の戦い(2)「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    同上

    No.5 2015/10/29 老舗企業の経営と継承(1)「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    創業200年以上続く老舗企業は日本に4,000社あるといわれ、これは世界第1位で、第2位ドイツの3倍近くにものぼる。1590年(天正18年)創業の扇子・団扇の老舗、株式会社伊場仙の14代目当主 吉田誠男代表取締役社長を講師に迎え、時代の変化の荒波を乗り越えて継続する企業の現場を知る。

    No.6 2015/10/29 老舗企業の経営と継承(2)「双方向」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    株式会社伊場仙・吉田社長を交えてグループディスカッションおよびクラスディスカッションを行い、老舗企業の今後の経営について考える。

    No.7 2015/11/09 企業訪問(1)(欠席者のための補講ビデオ)「実地」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    正当な理由があり企業訪問を欠席した学生のための補講: ここに掲載されたビデオを視聴し、「11/9西島㈱見学欠席課題」(課題No.1)をこなしてください。正当な理由がある者とは、事前に業務等の理由により欠席が認められたものを指します。個人的理由で休んだものは対象になりません。
    補講ビデオ:
    ◆西島株式会社 代表取締役社長(当時) 故 西島 篤師氏
    【演題】一生元気一生現役 定年制のない会社のものづくり、人づくり
    ※ 2012年1月20日「SDM特別講義2」で行われた講義です。

    No.8 2015/11/09 企業訪問(学外にて終日活動)(2)「実地」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    創業90年の愛知県豊橋市の工作機械メーカー西島株式会社を訪問し、工場見学、4代目西島豊社長のお話しを通して中小企業の現場に直接触れてみる。西島㈱は、定年制のない高齢化社会のモデル企業として数々のTV・雑誌等にとりあげられ、清家塾長も2009年の訪問時に同行された。
    3代目西島篤師社長(故人)は、2012年1月20日に、SDM特別講義でも講演されている。
    参加者は、「西島株式会社への見学」をダウンロードの上、確認すること。

    No.9 2015/11/09 企業訪問(学外にて終日活動)(3)「実地」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    同上

    No.10 2015/11/26 中小企業の若手経営者に学ぶ(1)「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    新しい時代の流れの中で、企業の現場を取り仕切る若手経営者の経営手法から中小企業の生き残り戦略を学ぶ。創業90年の株式会社畠山鐡工所の畠山和也 代表取締役社長は41歳、慶應義塾大学法学部を卒業後、アリゾナ大学ビジネスカレッジに進み、同校を卒業後、2000年に大同特殊鋼株式会社に入社、その後2001年に不況のあおりで不振に陥った家業に4代目として入社し、立て直しをはかった経験を持つ。

    No.11 2015/11/26 中小企業の若手経営者に学ぶ(2)「双方向」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    株式会社畠山鐡工所・畠山社長を交えてグループディスカッションおよびクラスディスカッションを行い、老舗企業の今後の経営について考える。

    No.12 2015/12/10 企業経営の本質と継続の条件(1)「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    これまでの講義と企業現場の見学会や実践の経営者の話を踏まえ、グローバル社会で生き残る経営の本質を日本の老舗企業と欧米のファミリービジネスの対比も含めて考察していく。日本型永続経営体ともいえるものに、自然界の流れに沿った人間性豊かな経営の本質を見て取ることができる。

    No.13 2015/12/10 企業経営の本質と継続の条件(2)「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    同上
    なお、本講座のまとめとして、2015年12月25日迄にレポートを提出する。

    No.14 2016/01/14 本講座のまとめと2016年の社会と経済の展望 「実務家」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    継続企業を前提とする日本的経営の特質が、企業の歴史の底に流れる組織や文化や精神といったものの表現としての会計物語論の本質をとらえている。
    本講座のまとめとして提出されたレポートの講評を行う。そして、我が国の風土と地域に根ざした企業が、グローバルな時代において永続発展できる日本的システムデザイン・マネジメントの構築を考えてみる。

    No.15 2016/01/14 意見交換 「双方向」 (By 吉田篤生、当麻哲哉)
    本講義全体を振り返り、グループディスカッションと通して意見交換を行う。



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